（夢主死ネタです。苦手な人は出戻りお願いします。）





波の音が聞こえる。
毎年夏が来るといつもこの海沿いに建てられたホテルに泊まって夏の匂いを2人で味わうのが俺らの中での決まりみたいになっとった。

「なんや、今年は俺一人で寂しいなぁ」

そう呟いた声は誰にも聞かれることも無くかき消された。

去年も泊まった時、かのがまた来年も行こうと俺に約束してくれた。
別に約束せんでも毎年行くのが2人の決まりみたいになっとったのに毎年かのは律儀に約束してきた。
そんな愛おしい君の存在は俺の隣にはない。

君は俺を置いて先に旅立ってしまった。

その実感がようやく湧いてきて、心に溜まったとものが一気に溢れ出す。

「あかんなぁ...っ...」

潮風が頬を撫でた感触がまるでかのの指で撫でられたような気がして涙が流れた。