本編
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「あ、伏見ちゃーん!」
バレー部の練習見終わって帰ろうとしたら、ぶんぶん手を振りながら近付いてきたのは及川さんだった。
『うわあ…』
「うわあって何さ!!」
『いやもうちょっと…圧が凄い圧が』
近い近い。あっ、やめろバカ触んな。
手を握るな手を。
「今日も熱心に練習見ちゃって!及川さんに惚れちゃったー?」
『いやそれはないわ』
「即答かよ!」
『マッキーとまっつんと岩ちゃんお疲れ~。今日もかっこよかったよ!』
「おう」
「ありがとなー!」
「照れるー」
「無視かよ!!」
キャンキャン吠える及川さんは、岩ちゃんにうるせぇと回し蹴りされていた。
目の前でこの茶番が見られるとは眼福だなぁ。
及川さんは想像以上にうるさいけどな。
『及川さんうるせぇ』
「伏見ちゃん!?」
『ああ口に出してしまった』
スンマセン、と悪びれる様子もなく謝る悠桐の塩対応に、岩泉、花巻、松川は腹を抱えて笑い、及川はメソメソと座り込んでのの字を書き出す始末である。
「及川じゃまー」
「サーブ練始めんだからどけ」
「ちょっと及川さんの扱い酷くない!?」
松川と岩泉に邪魔扱いされ、及川はすっくと立ち上がってぶちぶち文句を並べる。
「もう帰んの?」
『ん?うん』
いつの間にか隣に来ていた花巻に話しかけられ、一瞬目線を花巻に送り、今度は及川に視線を移す。
『及川さんのさぁ』
「なんで伏見って及川のこと"さん"付けしてんの?」
『まぁそこは置いといてね』
元いた世界で呼んでいたまま、つい癖で呼んでしまう。及川さん。うん、語呂がいいじゃないか。
『及川さんのね、』
「おう」
『右足なんだけどさ』
「ん?」
『捻挫してない?』
「…は?」
花巻は慌てて及川を見る。
足を引きずっているようには見えないし、及川自体も痛そうにはしてない。
『いや、勘違いならいいんだけど』
じゃ、練習頑張ってね。
とだけ告げて、悠桐は体育館から出ていく。
「ーーなぁ、及川さ」
「ん?」
悠桐の見立てを告げた時の及川の顔は、ああやばいバレた、という顔だった。