本編
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矢巾と金田一は、2人揃ってトイレから体育館へ戻るところだった。
廊下を抜けて体育館へあと少しのところ、外にある水道の近くを通りかかった時である。
「なー、青城って強いのかな?」
「さあ」
「4強って言われてるけどなあ」
「え、でもこないだ練習試合して烏野に負けたんだろ?」
思わず2人は近くの物陰に身を隠した。
水道近くにいた大学生4人は、そのまま話し続けている。
「烏野?」
「あれだろ?"堕ちた強豪 飛べない烏"」
「そんなとこに負けたのかよ」
「俺白鳥沢に後輩いるんだけどさ、ゴールデンウィーク最終日の練習試合も負けたらしいぜ」
「なんだ、大したことねぇじゃん」
「「……」」
烏野に負けたことも、白鳥沢に負けたことも、拭いようのない結果で事実だ。
大学生たちの言葉に、矢巾と金田一は拳を握りしめるしかなかった。
『ーーそれ、撤回していただけますか』
空間を裂くように凛とした声が耳に滑り込んで、2人は慌てて物陰から盗み見る。
自分より頭一つ以上は大きな大学生4人に向かって、目を逸らさずに対峙していたのは、臨時マネージャーの悠桐だった。
『烏野は最近強くなってきました。もう"飛べない烏"なんかじゃない』
突然の悠桐の登場に、大学生たちはぽかんとしている。
『白鳥沢だって、毎日必死で練習してるんです。その時の彼らが、青城の実力よりほんのちょっと上回っていただけです』
「ふーん。それで?」
『烏野にも白鳥沢にも、勝てる実力はあります。
ーー青城(うち)は強い。あんまりナメないでください』
青城は強い。そう信じている悠桐の言葉に、大学生たちはケラケラと笑った。
「かっこいいねーマネちゃん!」
「じゃあ今日俺らが勝ったらデートしてよ!」
『はあ。いいですけど』
「まじで?約束な!」
「「!?」」
あまりの急展開に驚く2人は、いつでも飛び出して行けるように体制を整える。
大学生に面倒そうに答えた悠桐が口を開いた。
『青城が勝ったら?』
「…は?」
『うちが勝ったら、何をしてくれるんですか?』
ピリッとした空気が漂う。青城の実力を信じているから、悠桐は決して引かない。
「どーしてほしい?」
「土下座でもしようか?」
『……いや、謝罪は要らないです』
「え、いいの?」
『謝罪するってことは、今の貴方がたの不愉快な会話を皆に聞かせることになるので』
ぽかん、とする大学生に、悠桐は口元に薄く笑みを浮かべて言った。
『コールドスプレーとか粉末ドリンク諸々、3ヶ月分くらいの差し入れでお願いします』