本編
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ゴールデンウィークが終わり、学校が始まって数日。
春の空気から徐々に夏に変わっていく、肌がジリジリと焼かれるような空気にため息をつく。
ゴールデンウィークまでという期限付きで存在していたマネージャーは、今まで通り同級生の女子、という形に戻った。
あれから何度か本格的に入部してマネージャーを、と声をかけてみたものの、返事はいつも『暇な時だけ行ってあげなくもない』というもので、暖簾に腕押しという諺を体感する。
お前、俺のバレーが一番好きって言ってたじゃねえかよ。一番近くで見なくていいのかよ。ギャラリーで手すりにもたれかかって見てるだけで満足かよ。
ギャラリーから練習を眺める悠桐を半目で見て、はあ、と2度目のため息をつく。
そんな些細なことを、目の前の松川が拾った。
「お悩みですか花巻くん」
「別に悩んでねぇけど」
「……伏見のこと?」
「は!?」
「ああ、当たりか」
にやりと笑う松川に、花巻はぶんぶんと頭を横に振った。
「違う違う!なんでそうなるんだよ」
「だって花巻、伏見がマネージャーじゃなくなってからため息の回数増えてる」
「………ウソ」
言われて思わず手で口を覆う。
悩んでるつもり全然ないのに?まじで?悩んでたのか俺。
「まぁウソだけど」
「松川テメェ…」
思わず松川を睨む。
当の本人はその視線を受け流し、ちらりとギャラリーにいる悠桐を盗み見た。
「暇な時はやってくれるんでしょ?」
「……まあ、そう言ってるけど」
「今週のさ、木曜日に人手いるじゃん。頼んでみたら?」
「あー…あれなぁ…」
花巻は呟いて、悠桐をちらりと見た。
「(別に、ちょっと話が合うだけだし。気遣わなくていいし、楽だし、それだけだし)」
視線に気付いたらしい悠桐が手を振っている。
花巻はそれに応えるように小さく手を振り返して、臨時マネージャーを復活させる口説き文句を考え始めるのだった。