本編
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練習試合は、白鳥沢の勝利で終わった。
結局青葉城西は一勝も出来なかった。
悔しそうな部員たちを横目に、悠桐は後片付けを進める。
全員が体育館を出たことを確認し、悠桐もそれに続く。
これからバスに乗って学校へ帰るが、その前に少しバスの前でミーティングをするらしい。
部員たちを追いかけるように小走りしていた悠桐だったが、先に行っていた及川が同じく小走りでこちらへ向かってきているのを認め、足を止めた。
『どうしたの?』
「ニーパッド忘れた…よりによって白鳥沢に…!」
『忘れ物ないか確認してねって言ってる側が忘れないでよ』
「くっ…」
悔しそうに歯を噛み締める及川に、悠桐は尋ねる。
『メーカーは?記名とかしてる?』
「メーカーは足ics。記名はしてないんだけど、タグに にこちゃんマークが描いてあるんだよね」
甥っ子に描かれたやつ、と続ける及川。
『じゃあ私が取りに戻るよ、ミーティングしといで』
恐らく待ってもらっているのだろう。
マネージャーではない自分はミーティングには参加しないし、悠桐は及川に戻るように言った。
「ごめんね、ありがとう!」
来た時と同じように小走りで戻る及川を確認し、悠桐は来た道を戻る。
体育館からは、白鳥沢のバレー部員たちが出てきているところだった。
「あれ、悠桐チャンじゃん、戻ってきたの?」
天童が声をかけてきてくれたので、悠桐は天童に走り寄る。隣には牛島もいた。
『うちの主将がニーパッド忘れたって言うから戻ってきたの』
「あらら…。そういえばあったね、片方だけ」
『ほんと?まだ体育館にあるかな?』
「多分部室棟に持って行ったんじゃない?」
「そうだな。五色が明日確認すると言っていた」
『ありゃ』
「おーい工ー!」
誰のものか分からないから、明日の部活中に確認するつもりで保管していてくれたのだろう。
離れたところにいた五色を、天童が呼び寄せる。
「はい、なんですか?」
「ニーパッドの落し物あったじゃん、あれ青城の及川クンのらしいよ」
「そうなんですか?あの、タグにマーク描いてあるやつですよね」
『あーうん、にこちゃんマーク描いてあるって言ってた』
「取ってきますね」
『うわーありがとう…!』
走って部室棟に向かってくれた五色に手を合わせ、悠桐は内心ため息をついた。
一年生とはいえ、レギュラーになにをさせている。
いや、レギュラーじゃなければ良いってことでもないんだけど。
「ーーー君は」
ふいに牛島に声をかけられ、悠桐は振り向く。
「青城のマネージャーだったな」
『(話しかけられた…!!)』
「…悠桐チャン?」
牛島に話しかけられるというイベントが発生し、一瞬処理が追いつかなかった悠桐。
天童の声で正気に戻り、慌てて返事をする。
『あっ、ハイ。あ、イイエ』
「…どっちだ?」
『えっと、ゴールデンウィークだけ限定のマネージャー的な』
「エッ、そうなの??」
『この期間だけしてって言われたんだよ』
「そうか」
「公式戦でまた会えると思ったのにぃー」
『君はからかえる人を増やしたいだけだろ』
「あ、バレてる」
あちゃー☆
と、可愛くもないモーションをしてみせる天童。
うん、可愛くない。