僕らの性春
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部活終わり。
男子バレー部の部室から高らかな悲鳴が聞こえた。
「伏見!!!」
下手をすれば取れるんじゃないかと思うくらいの勢いで部室の扉を開けたのは岩泉で、呼ばれたのは悠桐だった。
送るから待ってろ、という言葉の通りに部室棟の近くで待っていた悠桐は、何でもないかのように返事をする。
『はぁい』
「ちょっと来い!!」
『なんだよぉ』
なんだよぉとは言いつつ、悠桐は内心ものすごく笑っていた。呼ばれている理由も分かっている。
遠目では暗くて見えなかったが、部室の灯りのおかげで岩泉が真っ赤になってるのが分かった。理由は間違いなく。
『なんですかぁ』
「これ!!」
岩泉が指を差す方を見ると、ヤンキー座り(古)をして顔を手で覆っている岩泉以外の3年レギュラーたちと、床に転んで丸くなって震えている矢巾と渡、そして膝から崩れ落ちて気の毒なほど耳まで真っ赤な金田一と、全力で引いている国見がいた。
その奥には、成人向けDVDが丁寧に床に並べられている。
もちろん悠桐の仕業である。
「何してんだお前!!」
『えー何ってほら、並べたんじゃん』
「なんっで並べたの!?」
ぐわりと立ち上がった及川がすごい形相で悠桐に迫る。
『どんな反応するかなと思って』
まさか悲鳴を上げるとは思わなかったが。
「普通女子ならこういうの避けるじゃん!!全力で!!」
『全力で向かっていくに決まってんだろ!』
「避けろよ!!」
「恥ずかしくねーのかよ!!」
『見られて恥ずかしいもん部室に置いとくなよ!!』
「そもそもどーやって見つけたの、コレ」
及川、岩泉、花巻と順番に責められて、それに臆することなく反論をしていく悠桐。松川がようやく体勢を立て直し、よっこらせと立ち上がりながら悠桐へと質問をぶつけた。
『湿布探してたら見つけた』
「湿布は"備品"って書いた段ボールにあるって言ったべや!?」
『いや備品段ボール2つあったからな?』
ほら見ろ、と一緒に並べておいた段ボールを指差すと、確かに「備品」という文字が書かれている。
岩泉がグッと言葉を詰まらせた。
『君らの性癖とかどうでもいいんだけどさ』
「性癖とか言うな」
『別に観るのはいいじゃん、好きにすれば』
「……え、引かねーの?」
『思春期でしょ。観るでしょ。知らんけど』
「え、意外…。穢らわしいとか言われるかと思った…」
『穢らわしいと思ったら床に並べてないわ。どんなイメージだよ』
生憎こちとらこんなもんでキャー!とか言える年齢ではない、という言葉を飲み込んで、悠桐はにっこりと笑った。
部室の温度が2度下がった。