本編
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『……ま、たまの手伝いくらいならやってもいいかな』
「やだー伏見ったらツンデレー」
『……』
「松川なにやってんの」
きゃっ!と裏声を使って口元に手を当てる松川に、悠桐は怪訝そうな視線を向ける。
そのシーンだけを見ていた花巻は、悠桐と同じように眉根を寄せた。
『びっくりするほど可愛くなかった』
「辛辣」
スッと真顔に戻る松川を一瞥して、悠桐は一度欠伸をする。
開け放たれた体育館の扉が風に揺れてガタガタと音を立てた。外は風が強いらしい。
少しは日が延びてきたようだが、部活も自主練も終わったこの時間はもう暗い。
「伏見、もう帰るよな?」
花巻に聞かれて、悠桐は小さく頷いた。
『うん。タオル取り込んだら』
「そう」
乾きが今ひとつだったタオルはまだ外に干されている。この風の強さであれば、恐らくもう乾いているはずだ。
部員ではないから部室棟は使えず、悠桐はこのままジャージで帰る予定だ。入畑にも許可を取っている。
ちなみに鞄は男子バレー部の部室に置かせてもらっている。
「取り込んだタオルって部室に置くよな?」
『そう。後で持って行く』
「じゃあ着替えて待ってるわ」
『はーい』
花巻と松川との会話を切り上げて、悠桐は得点板をカラカラと押して歩く。
体育館の中にある倉庫は暗く、暗い場所はあまり好きではない悠桐は無意識にそわそわとした気持ちになった。得点板を戻す場所を部員達に確認して、悠桐は早々に倉庫から出る。
支柱やネットは既に片付けられていて、残すはボール籠のみだったため、悠桐はそこを任せて外へ出てタオルを取り込んだ。
一度体育館に戻り、それらを丁寧に畳んでいく。
取り入れる時に使ったカゴに戻して、悠桐は部室へ向かった。