本編
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「頼む!」
『えー…』
顔の前で手を合わせて、必死に拝むのは花巻。
悠桐は嫌そうに顔を歪ませた。
『やだ』
「なんでだよ!」
『むしろ何で私だよ』
ゴールデンウィークも来週に迫ったある日。
悠桐の前にいるこの男は、ゴールデンウィークの間だけでもいいからバレー部のマネージャーになってほしいと頼み込んでいる。
「一番気心知れてるから!」
『ほう、初耳だわ』
はよ帰らせて。
顔にでかでかとそう書いてある悠桐を見て、花巻はムスッとした顔をする。
そもそも悠桐はそこまで深くバレー部に関わるつもりなどない。ただでさえ異分子。下手に関わって未来が捻じ曲がるなんてごめんだ。
もうここまで関わってから言う言葉でもないが。
『あの辺で応援してる子とか誘えばいいじゃん』
ほらあの辺、と悠桐が指を差すのはギャラリーで、可愛らしく「及川さーん!」と声を上げる女子生徒達が手を振っている。
「及川目当ての女の子はダメ」
「仕事しないし」
タオルで汗を拭きながら近寄ってきた松川を見て、悠桐は盛大に舌打ちした。
『集まってくんな!解散!』
「「集合!」」
『おい』
松川と花巻に解散を告げると、途端に集合の号令がかかる。とんだ茶番だ。
2人の声を聞いて、他のレギュラーもわらわらと集まって来た。
「集合ってなに~?」
「なんかあったか」
『なんもない。なんもないから帰って。そして帰らせて』
「ゴールデンウィークの間だけでもマネージャーしてほしいって頼んでた」
「で、返事は?」
『しないっつってんだろ』
「えー」
及川が大きくため息をつく。
なんでバレー部って人の話聞かないの?
「伏見さん、やらないんですか」
『えっ…や、やらない…』
「へえ…」
なんだ、やらないんだ。と、国見が小さく呟く。
たったそれだけで、悠桐は少しだけ決心が揺らいだ。