本編
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「……おーい、生きてるか」
「「…死んでる…」」
「だろうな」
一部始終を聞いていた4人のうち、及川と花巻は顔を両手で覆っている。ちなみに耳まで赤い。
「かっけぇな伏見」
「3人に向かっていくとかシビれるわー」
呑気に感想を漏らす岩泉と松川の横で、及川と花巻はまだ動けない。
過去付き合った彼女達への罪悪感はある。それでも。
自分達の選択が間違っていなかったこと。
バレーを優先して良かったこと。
それを許せないと言った彼女達を、許さないと言ってくれたこと。
じんわりと胸の奥が温かくなって、今日はいつもより練習に身が入りそうだと、及川と花巻は思った。
『なにこれ』
「おはよう」
「おーっす」
『おはよう。で、これなに』
朝教室へ行くと、悠桐の机に置かれていた2つのぐんぐんヨーグル。
それらは汗をかいていて、朝買ったばかりなのだと予想される。
「あげようと思って」
『なんで?』
「何でもだ」
椅子ごと身体をこちらに向ける松川と、その横に仁王立ちする岩泉。何が何だかわからない悠桐が椅子に腰掛けると、黙ったままだった及川と花巻が歩み寄る。
そのままダンッ!と音を立てて、2人がパックのいちごミルクを悠桐の机に置いた。
『…え、ほんとに何…?』
「なんでもないけど」
「やる」
『え、意味わかんない』
ぽかん、として4人を見つめる悠桐を、及川と花巻はムスッとした顔で見つめ返す。
『(ほんとに何だ…私なんかやらかした…?いやでもやらかしたならジュースくれる意味がわかんない…)』
ぐるぐると考えを巡らせて、やっぱりわからんと結論を出した。なんかよくわからんが、くれると言うなら貰っておこう。
『えーっと…よく分かんないけど、貰っておく。ありがとう』
「おう」
「どういたしまして」
岩泉が頷き、松川が笑う。
相変わらず及川と花巻はムスッとした顔をしていて、悠桐は首を傾げた。
『どうかした?』
「「……」」
『…?』
「「ブスじゃねーよ」」
『……は?』
都合よくチャイムが鳴って、ムスッとした顔のまま及川と花巻は教室を出ていく。
その後に岩泉が続いて、悠桐と松川が残された。
『…え、なに、ブス?』
「ブスじゃないって」
『んん…?いや、最近の高校生ってわからんわー』
「伏見も最近の高校生じゃん」
『え、あ、ああー…うん、そうなんだけど』
照れ臭くてどういう顔をしたらいいか分からない及川と花巻の顔を思い出して、松川はくすりと笑った。