本編
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へらへらと笑いながら女子生徒達に近付いたのは悠桐で、彼女は言葉通りペットボトルを壁に投げつけたらしい。
女子生徒達の足元に転がるそれを拾い上げて、悠桐はにこりと笑う。
『当たらないようにわざと外したんだから感謝してよね』
「何のつもり…?」
『いや、だから胸糞悪い話が聞こえたからやめて欲しくて』
口元に薄ら笑みを浮かべながら、悠桐は拾ったペットボトルをゴミ箱へ突っ込んだ。
「…あー、あんたバレー部と仲良いもんね?」
「媚び売っとこうって話?」
「彼女になれたら鼻高いもんね!」
馬鹿にしたように笑う3人に、悠桐は気にする事もなく鞄から財布を取り出して自販機にお金を入れる。
『別に彼女になるつもりとか全然ないけどさぁ』
「……」
『君達が彼らと付き合ったのって、自分達のステータスを上げるため?』
「……だったら何」
『"バレーしてる貴方が好き"って告白したんじゃないの?』
「そう思ってたよ」
「付き合うまではね」
『バレーばっかでつまんないから別れたの?』
「だから?」
パックのいちごミルクのボタンを押して、音を立てて落ちたそれを拾う。
『(この間の矢巾くんの事と言い…)』
「なに黙ってんのよ!」
『や、ただのクズかーって思って』
「…は?」
「さっきからなんなの?」
「伏見さんさ、ちょっと調子乗ってない?」
『……彼らの血の滲むような努力を見たことがあるの?』
「……」
『ないよね。あったらそんなこと言えないもんね』
「何が言いたいわけ?」
『彼らは君達を大切にしてたよ。ちゃんと好きだった。それが本人達に伝わってないのは悲しいなって思っただけ』
「……」
『それと、彼らの最優先事項を馬鹿にしたのが許せなくてね。それ以上言えば君達が性格までブスになるから、止めてあげようと思って』
「は…、」
『上辺だけしか彼らを見てないくせに、分かったようにグチグチ言うなっての』
にこり。
口元だけに笑みをのせる。
3人は怒りで顔を赤くさせて、そのうちの1人が手を振り上げた。
そのまま悠桐に向かって振り下ろされた手は、標的の悠桐によってあっさりと止められてしまう。
「なっ…!」
『こんな事したら性格までブスになるって忠告したばっかじゃん』
「っ、お前だってブスだっつーの!」
「死ね!」
『お、』
悠桐に掴まれた手を振り払って、3人はバタバタと校舎へ戻っていった。
『全く最近の高校生は……死ねってなんだ死ねって。顔面ブスは否定しないけどやめろよ、心は硝子だぞ…』
残された悠桐はパックにストローを差し込んで、いちごミルクを一口飲み込む。
『(自分の推しを馬鹿にされるって腹立つけど、高校生相手にペットボトル投げるのは大人気なかったな…)』
ぼんやりと考えて、悠桐はため息をついた。
『……やっぱりブスは私か』
今日も部活を見に行こうとしていたのだが、気分が乗らなくなってしまった。
『…帰ろ、』
悠桐はそのまま運動場の方を通り、帰路についた。