プロポーズしてみた
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『う、っおおう…』
変な声出た。
いやいやしょうがないよね?
だってまさかこんなとこに国見ちゃんがいると思わないじゃんよ。
『(……寝とる……)』
じっとその綺麗な顔を見つめる。
はーーー整ってんなマジで。
「……ん、?」
『あ、』
起きた。
「……誰でしたっけ」
『寝起きクソかわい……あ、じゃなくて、3年の伏見悠桐です』
「………」
『無反応はつらい』
昼休みに珍しく女の子のクラスメイトとご飯を食べた。(いつもはまっつんと食べてる。優しい)
何組の誰々がかっこいいとか、この間大学生の彼氏が出来たとか、なんかそんな会話を『若いなー』と思いながら聞いて、そういえば国語の課題の本を借りに行かないと、と食事を終えてから図書室に足を運んだ。
静かな図書室はどうやら生徒はあまり利用しないらしく、図書委員と数人の生徒しかいない。
もったいない。こんなに広い図書室なのに。
そう思いながら課題の本を探している時に、入口から死角になる場所で、机に突っ伏して寝ている国見ちゃんを発見したのである。
そして冒頭へ戻る。
「及川さん達とよく話してる…」
『あ、うんそう。よく練習も見に行くよ』
「知ってます」
『え、なんで?』
「ギャラリーで1人で騒いでて、うるさいなーと思ってよく見てます」
『うるさくしてすんませんでした』
寝起きやのにキレッキレやな!!
ごめんな!!
『お昼ご飯食べた?』
「ああ、はい」
『そう。昼寝には持ってこいの静かさだもんね』
「…伏見さんは何してるんですか」
『国語の課題図書探しに』
「へえ」
まだ机に突っ伏して顔だけこちらに向けながら、国見ちゃんはそのまま黙った。
一応先輩と話してるのにその態度なんですか?何しても可愛いから許すけどな?
『(はて…どこにあるやら)』
目当ての本は見つからない。
多分この辺にあるはずなのに。
『あ、あった』
自分の目線の高さばかり探していたせいで見つからなかった本は、腕を伸ばしてぎりぎり届くか届かないかの所にある。
『ふっ…ん、ぬっ…!』
あ、無理届かない。待って待って脇腹攣った。痛てぇ。
『くっそ…!』
「……何やってるんですか」
『思いのほか短かった自分の腕に怒りを覚えている』
「……」
国見ちゃんはため息をついているようだった。
なんかごめんな。
「……どれですか」
『え?』
カタン、と椅子から立ち上がって、本棚を眺めながら近付いてくる。
『あ、えっと、上から2番目の棚の、左から3冊目』
「これですか?」
『あ、うん。それ』
えっえっ、国見ちゃんが優しい?嘘だろ?
えー何だよツンデレか?
もう可愛いすっごく可愛い。
「…欲しいですか?」
『は?』
「本」
『…欲しいですけど』
あ、待ってそんなに優しくなかったかも。
すげー意地悪そうな顔してる。眠そうな顔どこ行ったよ。
「塩キャラメル」
『は、』
「で、渡してあげます」
右手に本を持った国見ちゃんは、その手を上へ伸ばす。元々の本棚より遠くなった。解せぬ。
『…明日持ってくる』
「絶対ですか?」
『約束しよう』
「どうぞ」
すんなり本を渡してくれた国見ちゃんは、またあの無表情に戻っている。
『…持ってくるのが嘘だったらどうするの』
「嘘…ついたんですか?」
こてん、という効果音が聞こえてきそうなほど、ものすごく自然に首を傾げてみせる。策士だな?
『嘘なんか付くわけないじゃんバカなの?最高に可愛いな君は』
「は?」
『眼力!』
心臓止まるかと思った。威圧感すげぇ。
『明日の放課後、練習の時に持って行くね』
「楽しみにしてます」
『国見ちゃん!』
次の日の放課後練習を見に行くと、やはり眠そうな顔で立っている国見がいた。
悠桐が名前を呼ぶと振り返り、体育館の入口までゆっくりと歩いてくる。
「国見ちゃんっていうの止めてください。及川さんみたいです」
『及川さんと同列とか嫌すぎる』
「とんだ飛び火だね!?」
2人の会話が聞こえたのか、及川はプッスーと頬を膨らませている。
『えーじゃあなんて呼べばいいの』
「普通に国見でお願いします」
「無視かよ!」
「うるせぇぞ及川!!」
「痛い!!」
岩泉の拳が綺麗に腹に入り、及川は床に沈みこんだ。それを横目に見つつ、悠桐と国見は話を続ける。
『じゃあ国見くん』
「はい」
『約束の品を持って参った』
「どうも」
小さな箱に入った塩キャラメルを差し出した悠桐だったが、国見が受け取る寸前でその手を引っ込める。
『欲しい?』
「…欲しいですけど」
どこかでやったような会話をしてみせて、悠桐はにやりと笑う。
『結婚してくれたらあげるよ!』
「勘弁してください」
『即答かよ』
顔色くらい変えてくれたまえよ。