プロポーズしてみた
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『あ、渡っちだ』
「え?」
昼休みも半分ほど過ぎた購買の前。
呼ばれて振り返ってみれば、3年の先輩たちとよく話している女性が立っていた。
名前は確か、
『あ、ごめん。私、3年の伏見悠桐』
「あっ…2年の渡です」
そう、伏見さん。
知ってるー、と言いながら笑った彼女の腕には、たくさんの食べ物が入った袋が抱えられていた。
「えっと…いっぱい食べますね…?」
『あ、これ?違う違う。これは君のとこの先輩たちにパシられて買いに来たやつ』
「えっ」
トランプで負けた罰ゲームなんだけど、あいつら全員容赦ない。
そう言う伏見さんだったが、なぜかすごく嬉しそうだった。
『渡っちは?お昼ご飯買いに来たの?』
「あ、はい。でも財布にお金ないの忘れてて…」
『あらら』
購買に来てから気付いた。
放課後の練習を想像してゾッとする。クラスの友達にお金借りようかな。
『渡っち』
「?」
『はい、どーぞ』
「えっ!?」
ガサリと押し付けられた袋には、焼きそばパンを筆頭とするパンが4つ入っている。
『あげる。お昼食べずに放課後練はきついでしょ』
「いや、でもこれ先輩たちのじゃ…」
『あいつらは昼ご飯食べた上で要求してきたからいいの』
しかも1人2個も注文して来たんだよ。
文句を言う割にちゃんと1人2個、合計8個のパンを買って帰る伏見さんは優しいんだと思う。
『胃袋破れたらいいと思わない?』
いや、前言撤回する。それは怖い。
「いや…それは…困ります…」
『じゃあ渡っちが先輩の胃袋守ってあげなきゃね』
にんまり笑って、じゃあねと手を振って伏見さんは小走りで去っていった。
「……あ、お礼言ってない」
追いかけようと思って、止める。
多分今日も練習見に来るだろうし、お礼ならその時に。
「笑ってくれるかな…」
あの笑顔でいいよいいよ、と言ってくれるだろう彼女を想像して、口元が緩んだ。
「おせーぞ伏見ー」
『うるさいな』
教室に戻ると悠桐の席に座った花巻がぶーぶーと文句を垂れた。
「あれ、1人1個ずつしかない!」
「2個って言ったじゃん」
「お使いも出来ねぇのか伏見」
『ねえ、よく考えたら何で罰ゲームとは言え1人2個も奢らされて、誰も荷物持ちにも来てくれないの?おかしくない?』
「頼まれたら行く予定だった」
『頼まれなくても来いよ』
机の上にばらまいたパンを物色する4人を見ながら、悠桐は自分の机に座る。
「机に座るとか」
『じゃあどいてよマッキー』
「いやでーす」
『クソうぜぇ』
悠桐の椅子に陣取りながら、花巻はチョココロネを食べ始めた。
「それにしても遅かったよね?購買そんな混んでた?」
『ん?いやいや』
及川の質問に、悠桐は小さく首を振った。
『期待のリベロの胃袋救ってた』
「は?」
『リベロは君らの胃袋を救ったよ』
「何言ってんだお前」
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(あ、伏見さん!お昼はありがとうございました!俺、今日はいつもよりいっぱい拾えそうです!)
(え、なにそれめっちゃ可愛い。渡っち私と結婚しない?)
(えっ!?)
(顔赤いクソ可愛い…)
(ええっ!?)