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伊達工業との対戦から、明けてインターハイ2日目。
強豪・青葉城西との試合だ。
ギャラリーには烏野町内会チームの滝ノ上と嶋田が来ている。
唯月はその二人と同じように柵に身体を預けるようにして立っていた。
コートでは烏野のキャプテンである澤村と、青城のキャプテンの及川が握手をしている。
「伊達工も結構な応援の量だったけど、青城(こっち)の場合は…」
嶋田が一旦言葉を切るのと同時、少し距離をおいてギャラリーからコートを見ていた女性たちが可愛らしく「おいかわくーん、がんばってー!」と声援を送る。
「コレですよ…」
『すごいですね』
「実際どうよ、八賀もああいう応援されたいんじゃない?」
『いや、別に…』
「冷めてんなあ…」
嶋田からの質問に首を横に振って答えると、滝ノ上が信じられないという顔をする。
「俺はされたい」
「俺もされたい」
『はあ…。されるといいですね…?』
なんと答えればいいのか分からなくなって、唯月は曖昧に頷いた。
コートでは烏野の公式練習が始まっていて、唯月はそちらに意識を戻す。
『(…今日もいいレシーブするなぁ)』
威勢のいい声と共にレシーブをしているのは西谷で、唯月の目は無意識に西谷を追っていた。
『(かっこいいな…)』
自分でも驚いている。なんせ好きだと気付いてからというもの、西谷がより一段とかっこよく見えるのである。
今までももちろん、彼がバレーをする様はかっこいいと思っていた。しかしそれが割り増しされているのだ。昨日から。
『(“好き”って、すごいな…)』
ふと、西谷がこちらに視線を向けた。
ばちりと唯月と目が合ったことに気付き、西谷は嬉しそうに手を振る。
『…』
唯月はそれに手を振って返して、少しだけ口元を緩めた。
西谷は満足そうに頷いて、また練習に戻る。
やがて青城の練習が始まり、唯月は未知数である青城の練習をじっと見つめた。
青城の練習はスムーズに進んでいて、及川の一切無駄のないフォームからセットされるトスを青城の選手が軽々と打っていく。
『フォーム綺麗だな…』
「確かになー」
ぼそりと呟いた言葉を滝ノ上が拾って相槌を打つ。
唯月は試合開始の笛が鳴るまで、コートから視線は逸らさなかった。
「整列ー!!」
澤村の声が響き、烏野と青城の選手が一列に並んだ。
試合が始まる。
及川が手をプラプラと揺らしながらコートへと歩いて行く。そこで一度立ち止まり、ゆっくりと後ろを振り向く。
及川がメンバーに対して何かを言った瞬間、途端に青葉城西の空気が変わった。
『いま…何か…』
「青葉城西の空気が変わった気がする」
なんとなく和やかだったように感じていた空気はピリッと緊張を含んでいて、たった一言でメンバーを操る及川に唯月は一瞬戦慄した。
『(みんな……頑張れ)』