12.
夢小説設定
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「最後の凄かったなぁ!……唯月くん?」
呆然としている唯月を見て、サエは首を傾げる。
『あー…』
「え、唯月くん?大丈夫?」
柵に身体を預けて顔を隠し、唯月は疾走する心臓を抑えきれないでいた。
『……これ、駄目だな』
「?」
背中は護ると言った、小さくて大きな背中に、繋がれた命。会場を魅了するスーパーレシーブ。
『(こういうの、なんて言うんだっけ…)』
確か、自身の従兄弟の幼馴染である黒尾がよく言っている。
『……ああそう、"カッコ良し男"だ』
「かっこよしお…?」
誰ともなしに呟いて、唯月は深呼吸をした。
『(……落ちた、)』
何に、とは言わない。
『(…いや、もしかしたらもっと前から……)』
唯月さん、と初めて呼ばれたあの日から、落ちていたのかもしれないけれど。
「……」
コートから手を振る部員達に手を振り返している唯月の横顔を見て、サエは薄ら勘づいてしまう。
「唯月さーん!!」
ぶんぶんと一際大きく手を振る西谷を見る唯月の目が、見たことがないほど優しいことが分かってしまった。
ああ、この人はきっと、彼が。
彼もきっと、この人が。
分かってしまったが、ほんの少しだけ意地悪してやろうと、サエは唯月に飛びついた。
『うわっ!?』
横からの突然の衝撃に、唯月はバランスを崩した。咄嗟にサエを抱えてその場に尻もちをついて、抱き着いてきたサエを咎めるように言う。
『危ないだろ!』
「唯月くん」
聞き流せない雰囲気を察して、唯月は自分の身体にくっついたままのサエへと視線を落とした。
「唯月くんが好き」
『……うん』
ギャラリーにいる観客には、サエが烏野の勝利に感動して泣いているように見えるだろう。
「別れたの後悔してた」
『うん』
「あんな所でまた会えたから運命かと思った」
でも、と言って、サエは唯月から離れる。
「リベロくんに譲ってあげる」
『……え、』
「見てたらわかるよ。アホ」
目を見開いて徐々に赤くなっていく唯月の顔を見て、サエはふっと笑った。
「(こんな顔、見たことないなぁ)」
異性に負けるなんて悔しいけど、リベロくん、私の完敗みたいや。