12.
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淡々と試合が進む。
二度目の変人速攻が決まって、伊達工業は一度タイムアウトを取った。
会場中が「あの10番を止めろ」という雰囲気になるのが分かって、唯月はぞくりと戦慄する。
『なんて優秀な囮…』
試合が進むにつれて日向と影山の速攻に、徐々に慣れを見せ始める伊達工業。
ブロックされ始めた日向の攻撃が、また3枚ブロックに止められた時。
落ちる場所が分かっていたようにそこに滑り込んだ西谷によって、ボールが繋がれる。
そのボールは影山によって高く上げられ、日向につられてブロックがなくなった相手コートへ、東峰の手で叩きつけられた。
東峰が部を離れる原因になった伊達工業戦。その戦いを払拭させた、日向の優秀な囮と影山のトス。
なによりそこへ繋げるための、完璧なレシーブをしてみせた西谷。
『…かっこいいな、』
スパイカーの命を繋ぐ彼の背中が、大きく見えた。
烏野が1セット目を取った。
そのまま取られて取り返してを繰り返して、2セット目のマッチポイント。
あと1点取れば烏野がストレートで勝利する。
必然的にエースにボールが集まる終盤で、東峰は3枚ブロックにしっかりとマークされている。
ぶち抜くつもりで打ったスパイクは大きく烏野コートの後ろへと戻った。
『後ろーーっ!』
誰もいない、と思った場所にいたのは、東峰がコートに戻ることを一番に喜んでいた西谷。
西谷が上手くボールを繋いで、東峰がトスを呼ぶ。
ブロックとの押し合いになったボールは、烏野コートへと打ち落とされた。
はずだった。
『っ…!?』
ブロックフォローのために東峰の後ろで待機していた西谷が、咄嗟に左脚でレシーブする。
ふわりと上がったボールに、誰もが息を飲んだ。
トスを呼んだ東峰に、ネットから少し離した高めのパスを送る影山。
高く跳んで打ち下ろしたスパイクは、ブロックに当たって白帯に乗り、相手コートへと落ちた。
試合終了の笛がなる。
勝者は、烏野高校だ。