12.
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試合が始まった。
両者一歩も譲らず、点差は大きく開かない。
普通の速攻を覚えつつある日向だったが、伊達工業の鉄壁の前に上手く点が入らないでいた。
『(…まだ、変人速攻の方は使わない感じなのかな)』
マネージャーは一人しかベンチに入れない。
選手をより近くで見てきた清水がベンチに入るため、唯月はギャラリーから試合を見守っていた。
『(そろそろ使い時、かな?)』
「あ、唯月くん見つけた!」
『!…サエ』
「応援来たよ!」
『ありがとう』
礼を言ってから、唯月は首を傾げる。
『サエ、学校は?』
「あー…今日は休み!」
『…嘘でしょ?』
「……自主的に、休み」
『……』
つまりはサボりだと言う。唯月はため息をついた。
『駄目でしょ』
「唯月くんと一緒に応援したかったんやもん」
『…今日だけだからね』
「うん!」
嬉しそうに笑うサエに、唯月は少しだけ頬を緩める。
そのまま視線をコートへ戻すと、ちょうど日向と影山の変人速攻が決まった瞬間だった。
「え、何いまの…!?」
『ナイスキー日向!影山!』
速攻を初めて見た観客達の驚きの声に掻き消されない程の声で、唯月は2人へ声を掛ける。
コートにいた日向は嬉しそうに手を振り、影山は勢い良く頭を下げた。
その様子を見てギャラリーへと視線を移した西谷は、唯月の隣に立つサエに気付いて慌てて視線を逸らす。
「(…集中、しねぇと)」
日向サーブのために一旦コート外へ向かう西谷の顔は、痛いことを我慢する時のそれだった。