11.
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休憩が終わって13時半。
2回戦が始まる。
ボールの弾む音、床を蹴るシューズの音が響く体育館。
烏野バレー部は2回戦前のアップを行うために集まっていた。
体育館の中は烏野の対戦相手である伊達工業を応援する声でいっぱいで、唯月は思わず息を呑む。
『(これ、呑まれたらやばいな…)』
「…なんというか、コート全体が"伊達工色"って感じですね…」
「……」
武田の言葉通りなそれに、烏養は閉口している。
「先レシーブになりました。コートはこっちで」
「おう」
「唯月、球出し頼む」
『うん』
澤村に頷いて、唯月はボールが入った籠を押して拓けたスペースへ向かった。
部員に向かってスパイクを打つ烏養の隣に立ち、唯月はボールを手渡していく。
と、ここで。
「ん ローリングッ」
『?』
「サンダァァァッ、アゲインッ!!」
「『!?』」
何か聞こえたと思ってそちらを見ると西谷で、大声を発し転がりながらレシーブをしているところだった。
「「「!?」」」
烏野のみならず伊達工業ですら驚いた顔でこちらを見ている。
「ノヤっさんナイスレシーブ!キレッキレじゃねーか、技名以外」
「技名もキレキレだろうが!!」
『…なにあれ…』
田中の茶化しに吠えるように反論する西谷。唯月は顔を引き攣らせた。
注意をしに走り寄る澤村や菅原と同じように、唯月も西谷の元へ足を踏み出した時だ。
「よっしゃあ!!心配することなんか何も無え!!皆、前だけ見てけよォ!!」
だん!とその場で足を踏み鳴らし、西谷は仁王立ちをしながら言い放つ。
「背中は、俺が護ってやるぜ」
『!』
部員達に向き直り、大きく手を広げて言うその背中に、唯月は思わず目を見開いた。
その一言で、どこか余裕のなかった烏野の空気がいつも通りになる。
『(…コートの後ろからの、チームの鼓舞…)』
守備だけがリベロの仕事ではない。
その小さな身体にそぐわないと思ってしまうほどの頼もしさ。
なんだよ、それ。
唯月は西谷から目線を外す。
自分に向けられたわけではないその言葉が、やけにずしりと胸に刺さった。
刺さったそれは、ひどく熱を帯びている。
『…かっこいいじゃん』
ぼそりと呟いて、唯月はほんの少し赤くなった頬を隠した。