11.
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『(思ったより遅くなった…!)』
唯月は走っていた。
検査結果が出るのが遅れ、予定していた時間を過ぎてしまったのだ。
『(初戦、どうだったんだろ…)』
握りしめた携帯にはまだ何の連絡もなく、唯月は逸る気持ちを抑えずに仙台市体育館へ走る。
ちょうど体育館の近くに来た辺りで、携帯が震えた。
『っ、もしもし』
《ああ、唯月?いまどこ?》
電話の相手は清水で、彼女は随分落ち着いた様子だった。
『体育館。すぐ近く』
《…もしかして走ってる?脚は大丈夫なの?》
『大丈夫!それより初戦は!?』
思わず大きな声が出てしまう。
体育館の入り口まで着いた時に、清水は言った。
《勝ったよ》
『…そ、っか、よかった』
《うん。今からみんな休憩に入る》
『わかった。ありがとう』
立ち止まって、電話を切る。
大きく息を吐き出して、唯月は呼吸を整えた。
『(…良かった、勝ってた)』
額から流れる汗を拭って、体育館の中へ入ろうとした時。
「…あ、唯月さん!」
『!夕…』
「潔子さんに迎えに行ってくれって言われまして!脚は大丈夫でしたか?」
『うん。ありがとう』
笑顔で走り寄ってきたのは西谷だ。
『初戦突破、おめでとう』
「!」
唯月の言葉を聞いて、西谷は嬉しそうに笑う。
「約束したんで!」
『!』
【初戦、勝って待ってます】。
見送りの際に言った言葉は、まさに有言実行された。
『…うん、そうだね』
唯月は少し笑って、西谷と一緒に部員達の元へ向かった。