10.
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「ーーさん」
『(あー…だめだ、全然わかんない)』
「唯月さん!」
『っ、はい!』
ボールを持ったままボーッとしていた唯月に西谷が声を掛けて、唯月は肩を跳ねさせた。
「どうしたんですか、ボーッとして」
『なんでもない』
「?そっスか」
「なー唯月」
『なに』
西谷の後ろから近付いてきた菅原に唯月が返事をする。
「インターハイ予選のアップ取る時とか、唯月にボール出しお願いしたいんだけど」
唯月が悶々と考えていた間に、武田が予選の組み合わせが書かれた紙を持ってきていたらしい。
菅原がひらひらとそれを揺らしているのを見て、唯月は首を傾げた。
『いや…無理だけど』
「え!?」
「なんでっ!?」
「応援来てくれないのかよ!!」
「え、八賀さん来てくれないんですか!?何で!?」
いつの間にか近くまで来ていた澤村や日向も一緒になって叫ぶ。
『いや…何でって…』
「八賀くんは部員ではないので、学校は公休にはなりませんね」
『そうですね』
「「「あああああ!!」」」
武田の一言で全員が理解する。
そうだった。練習を手伝っているというだけで、彼はただの一般生徒だった。
『土日なら行けるけど、平日はちょっとね』
「入っ…あの、はっ…い、いまから、バレー部にっ、あのっ」
「日向落ち着け!」
あわあわとする日向を田中が落ち着かせる。その様子を見守る唯月に、東峰が近づいた。
「あの…唯月」
『ん?』
「選手って形でないなら、バレー部入るつもりはない?」
『?』
「えっと…マネージャーとか」
『マネージャー…』
「いや、マネ業やらせるつもりとかはないし、やってる事は今まで通りでいいんだけどっ」
日向のようにあわあわとしてみせた東峰が、かりかりと頭を掻く。
「…やっぱり俺もみんなと一緒で、唯月に試合来て欲しいと思うからさ」
『!』
にへら、と笑う東峰を見て、唯月は軽く目を見開いた。
『……わかった、旭がそこまで言ってくれるなら』
「あ、ほんとに?ありがとう唯月」
「「「!?」」」
『武田先生、今からマネージャーとして入部って出来るんですか』
「も、もちろん!」
トントン拍子で進む会話。
にこにこと嬉しそうな東峰と、視線を右往左往させる部員達。
善は急げと入部届けを取りに行く武田の後ろ姿を見送り、唯月は部員達に向き直る。
『…まあ、そういうわけで、マネージャーになります』
よろしくお願いします、と続ける唯月に、嬉しそうな声と拗ねた声が重なった。
「八賀さんがパーティーに加わった!!」
「あのサーブがもっと見られるってことだな!」
「なんで俺とスガが誘った時に入らないのに旭の時は快諾するんだ!」
「ずるいぞ旭ー!」
「ええ…」
「唯月さんが入部してくれるのは嬉しいけど複雑だ…!!」
やんややんや。
騒ぐ部員達を横目に見ながら、唯月はボールが入った籠を片付ける。
『…あ、そうだ。ねえ大地』
「ん?」
『入部するって言ったばっかりで申し訳ないんだけど、今週の日曜日は練習出られない』
「バイトか?」
『ううん、試合』
「試合?観に行くのか?」
『いや、出るの』
「ああそうか、出る……出る!?」
「試合に!?」
『そう』