10.
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「うぉ」
「ホントだスゲー!写真でけー!」
『?』
部活終わり。
自主練をしていた日向たちに付き合っていた唯月は、東峰たちの声に振り向いた。
「なんスか!?どしたんスか!?」
日向と影山がその集団に近付いて会話に入る。
唯月はそれを遠くで見守った。
「ホレ」
「?」
田中がずい、と差し出したのは一冊の雑誌。
「"高校注目選手ピックアップ"…?」
「今年の注目選手の中でも"特に注目!"ってなってる全国の3人の中に、白鳥沢の"ウシワカ"が入ってんだよ」
「白鳥沢って影山が落ちた高校(トコ)!!」
「うるせえ!!!」
『(落ちたのか…)』
日向が大声でナイーブな内容を暴露し、それを聞いた月島と山口が吹き出す。
「……で…"ウシワカ"…って?」
「なんだ知らねーのか」
「日向は"小さな巨人"ばっかだもんな」
そう言って笑う菅原を何の気なしに見ていると、その隣に座っていた西谷と目が合った。
「…」
『…』
ぽすぽす、と自分の後ろの床を小さく叩く西谷。
ここへ来い、という意味だ。
『…』
唯月は小さく首を横に振って、日向たちが使ったボールを片付け始める。
お試しと称して付き合い始めた次の日だ。
練習の時にやたら視線を感じると思えば西谷で、近付いてきてはその度に「俺だけ見ててくださいね」と耳打ちして行く。
唯月の心臓は悲鳴を上げていた。
『(いきなりああいう…恋人、みたいなの…困る…)』
ボールを拾い上げ、カゴへ入れる。
『(なんで俺なんだろ…)』
ずっと考えていた事だ。
特別なにかをした覚えもない。
しいて言うならブロックフォロー練習を手伝ったくらい。
昨日それとなく聞いてみたものの、西谷は「唯月さんが唯月さんだったからッス」としか言わなかった。
意味がわからない。
結局昨日は「彼氏なんで!!」と張り切った西谷に家まで送られ、真っ赤な顔で帰宅することになったのである。
『(…あとそれと、)』
【嫉妬はしてるんで】
『(嫉妬…)』
頭の中に木霊する西谷の言葉。
例えば清水と並んで朝食を作った時。
例えば研磨と仲良さげに話していた時。
例えば黒尾に腰をなぞられた時。
どれも嫉妬していたと、西谷は言った。
『(そんなこと言われてもなあ…)』
それを話してくれた時の西谷の顔は確かに不機嫌そうで、唯月は困惑したことを覚えている。
『(夕ってキーコのこと好き…なんじゃないのかな)』
西谷の清水へのアプローチは一体何だったのか。
あれは単なる"憧れ"であって、恋愛対象ではないのか。それとも叶わないものとして遠ざけているから、その矛先がこちらへ向くのか。