9.
夢小説設定
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「唯月さん!」
『!』
西谷に大声で呼ばれて、唯月は肩を跳ねさせた。
その仕草が研磨のそれとよく似ていて、音駒の面々は思わず感心する。
「「「(さすが従兄弟…)」」」
『はい…』
「ちょっと来てください」
のろのろと移動する唯月の背中は、研磨をそのまま大きくした感じだ。
『なに』
「よく考えたら俺、唯月さんの連絡先知りません」
『はあ…』
「教えてください」
「むしろ今まで知らなかったのかよ…」
「ブロックフォロー練習のときどうしてたんだ…」
あの時は決められた曜日、時間、場所があったし、連絡先を交換することまで頭が回らなかった。
『俺3年の連絡先しか知らないよ』
「まじかよ」
「3年生だけズルいっす!」
『ええ…』
ずるいって言われてもな、と呟いて、唯月は言う。
『試合終わってからね』
「絶対ですよ!!」
約束を取り付けた西谷は満足そうに、唯月の差し入れに手を伸ばした。
「あっ、ノヤ!何個目だそれ!」
「3個目だ!美味いから食う!!」
「ノヤさんに負けねえ!」
食べる量まで競うのか、と、騒がしい西谷、田中、日向を見守る。
唯月はふと清水の方を見た。
アップルパイにかじりついて咀嚼している彼女の口元に、生地がついている。
『キーコ』
「?」
唯月は清水の顔を覗き込んで、口元に手を伸ばした。
『ついてる』
「…言ってくれれば自分で取るんだけど」
『鏡ないから取ったほうが早いかと思って』
「「「……」」」
照れて少し顔を赤くする清水と、それがさも当然のように振る舞う唯月。
部員達は苦い顔をした。
「あー…なんだあいつら、付き合ってんのか」
「いえ…幼馴染って聞いてますけど…」
烏養の言葉に、縁下が答える。
「唯月の天然ジゴロなんなの…」
菅原がげんなりしたところで、黒尾が声をあげた。
「おーい、主将くん」
「!」
「ちょっとお願いがあるんですけどー」