9.
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『あ…こんにちは』
「おお、あの時のMBくん!」
「久しぶりだなー!」
体育館について観覧席へ向かうと、見知った顔が二つ。
烏野町内会チームの滝ノ上と嶋田だ。
「もう1セットとられちゃったよ」
「2セット目もとられそうだな…」
『あー…そうですか』
鞄とアップルパイが入った袋を置いて、唯月は試合が行われているコートを見る。
『(…あ、研磨いた)』
もうすっかりプリンになってしまった金髪を揺らしながら、ボールを追っている従兄弟を発見する。
影山のトスを日向が打ち、そのボールはブロックに捕まることなく、際どいコースへ刺さりそうになる。
しかし、対戦相手である音駒高校のリベロがそれを拾い、なんとか味方へと繋げた。
最後にボールに触ったのは研磨で、滑り込みながら烏野のコートへ打ち戻したそれは、誰も触れずに烏野のコートへ落ちる。
試合終了の笛が鳴った。
勝者は音駒高校だ。
『("繋げる"っていう面では、多分まだまだ音駒には勝てないだろうな)』
安定したレシーブ。
どこに打っても拾われ、セッターまで返される。
烏野はまだ、レシーブが大きな課題だ。
『(さて、どのタイミングで声を掛けるか…)』
逡巡していた唯月の耳に、耳馴染みのある声が滑り込む。
「いっくん…!?」
『!』
視線を向けると、従兄弟である研磨がこちらを食い入るように見つめていた。
唯月は小さく笑って、研磨に向かって手を振る。
「え…唯月!?」
「唯月さん!?」
「八賀さーん!来てくれたんですかー!」
「っていうかいま音駒のセッター、いっくんって言わなかったか…?」
「そう聞こえた…」
烏野の面々も気付いて、唯月へ手を振った。
「おーい、いっくん」
『……』
音駒のMBで主将の黒尾が手招きする。
「降りてこいよ」
『なんで』
「いいから早く」
黒尾の言葉に唯月は渋い顔をしてコートへ向かった。