9.
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「あ、唯月」
『はい』
合宿所で朝食を摂ったあと、唯月は練習には参加せず軽く掃除をして、バイトへ来ていた。
今日は1日バイトなのである。
佐見に話しかけられた唯月は、鍋を混ぜる手を止めた。
「お前、明日もシフト入れてたよな?」
『ああ、はい。1日入れてました』
明日は5月6日。
GW最終日で、烏野の練習試合がある日だ。
その練習試合が決まる前から決まっていたバイト。
見に行きたいのは山々だが、休むなんて無責任なことは出来ない。
と、思っていた。
「明日なんだけどな、ちょっと臨時休業にするわ」
『え…何でですか?』
「甥っ子が遊園地に連れてけって…」
『おお…』
佐見が作っているクラブチームに混ざって練習させてもらっているとき、そう言えば何回か見かけた気がする。
「悪いな」
『いえ、全然大丈夫です』
『ただいま』
バイトが終わって、夜22時。
家の玄関を開けて中へ入ると、大きな段ボールが置かれているのを認めた。
「あ、唯月おかえりー」
『ただいま』
リビングから雪子が顔を出す。
唯月は段ボールの中を覗き込んだ。
『りんご?』
「そう。お隣のおばさん、親戚からいっぱい貰ったのって言って、お裾分けしてくれたの」
『すごい量だよ…』
確かに段ボールに溢れんばかりに詰められている、真っ赤なそれ。
「でね、私と小春からお願い」
『なに』
「アップルパイ作って!」
パイシートはいっぱい買ってきたから!と続ける雪子に、唯月は一つ頷く。
『…アップルパイか、いいね』
「ん?」
確か自分の従兄弟は、アップルパイが好物だったはず。
『こっちと向こうと合わせて…何人くらいだろ』
「ねー何のはなしー?」
『…ホール5枚くらい作れば足りるかな』
多いかな。いや、でも掃除機がゴミ吸い取るみたいな勢いで食べるしな。
「ねーってばー」
『姉ちゃんうるさい』