8.
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台所へ向かって鍋の蓋を開けると、湯気と同時に美味しそうな匂いが漂う。
味見をしようと里芋に箸を伸ばした時だった。
「…八賀さん?」
「あ、八賀さんだ」
『!』
びくりと肩を跳ねさせて振り返ると、風呂上がりなのであろうタオルを頭に被りながらこちらを見ている、西谷と田中と目が合う。
『田中……と、えーっと…』
西谷を見て唯月が固まる。
「?」
「…あ、八賀さんお前が髪おろしてるの見たことないんじゃ…」
「おお、確かに」
『あ、やっぱり西谷?雰囲気違うから誰かと思った』
普段ワックスで固めているその髪は、風呂に入っておろされている。
幼くなるなあ、とはさすがに言えず、唯月は言葉を飲み込んだ。
「風呂入らないんですか?」
『明日の煮物だけ作ってから入ろうと思って』
つまみ上げた里芋を小皿の上に置いて半分に割り、唯月はちょいちょいと2人を手招いた。
「「?」」
唯月は半分になった里芋を一つ、西谷の前に持っていく。
『味見』
「!いただきます!」
嬉しそうに差し出された里芋に食いつき、咀嚼しながら親指を立てる西谷。
唯月は少し笑って、田中の前に同じように里芋を差し出した。
はずだった。
『…あ、』
「あ」
田中の前に持って行ったはずの箸を腕ごと引き戻され、もう一つの里芋も西谷の口の中へ収まる。
『ちょっと』
「あ、ああー…俺遠慮しときます、歯磨きしちゃったんで(してねぇけど)」
『そう?…西谷、お腹減ってたの』
唯月の言葉に頷き、にこにこと嬉しそうな西谷。
「(腹減ってたっつーより、ただ俺が八賀さんにあーんされるのが許せなかっただけというか…)」
田中は乾いた笑みを浮かべる。
「ごちそーさまでした、八賀さん!美味かったです!」
『それは良かった。…ほら、頭乾かしておいで。風邪引くよ』
「「ウィッス!」」
『(…田中はもう乾いてると思うけどなぁ)』
元気よく返事をして去っていく2人を見送って、唯月は思った。