8.
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やんややんやと盛り上がってはいたが、長めにとっていた休憩はもうそろそろ終わりを迎える。
「雪子さん、差し入れありがとうございました!」
「「「ザース!!」」」
「いいえー」
「よしお前ら、あと3分で練習戻るぞ!」
「「「うぃーす!」」」
何人かはコートへ戻り出した。
同じく戻ろうとした日向の服の裾を掴んだのは、小春だった。
「お?」
「しょうよう…こはる、トイレいきたい…」
小さな声で訴える小春の言葉を聞いて、日向は焦る。
「おっ、おお…トイレ…!連れて…、だめだ、練習が始まってしまう…!!」
ぐぬぬ、と顔を顰めたとき、唯月がしゃがみ込んで服の裾を握ったままの小春の手を、優しく取り上げた。
『翔陽はこれから練習だから、トイレはいっくんと行こうな』
「!うん!」
元気よく返事をする小春に優しく微笑んで、唯月は立ち上がる。
『連れて行ってくる』
「お、おう…」
小春と手を繋いだまま体育館を出ていく唯月を見送って、全員が目を瞬かせた。
「…お、おれいま、翔陽って呼ばれた…!?」
「自分でいっくんって言った…!」
その中で唯一西谷だけが、日向に対してなんとも言えない顔をしている。
「(あら…?あの顔は…)」
西谷の表情の変化に気付いたのは雪子だけだ。
「翔陽ズルいぞお前だけ!」
「うおお!いたっ…痛いですノヤさん、なんで!?」
「うるせー!!」
俺もまだ名前で呼ばれてねぇのに!と喧しく喚く西谷。田中は心の中で頑張れと叫んだ。
そんな部員たちを見て笑った雪子は、唯月たちが歩いて行った方向を見つめて言う。
「ーーみんな、ありがとうね」
「「「…?」」」
突然のことで何かわからず、全員が雪子を見つめた。
「最近あの子、すごく楽しそうなの。理由聞いたら、バレーと関われてるからだって」
「「「!」」」
「脚を怪我してバレー辞めてから暫くは、あの子すごい荒れてたんだ。小春も怖がって近付かなかった。高校入ってリハビリ的にバレーやっても、やっぱりそこまで楽しそうじゃなかった」
雪子は部員たちに向き直り、にっと笑う。
「唯月に居場所をくれて、ありがとう」
「いやっ…そんな…。…俺たちの方こそ、いつも助けられてます」
「西谷のことだって、まさかそこまで気にかけてくれてるとは思わなかったですし」
澤村と菅原の言葉に、雪子は嬉しそうに笑った。