6.
夢小説設定
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「よっ」
菅原が上げたトスを滝ノ上が打つ。
流れるような速攻に、相手チームは手が出せない。
「おー、イイかんじイイかんじ。ナイストス!」
「あ、ありがとうございますっ」
「!菅原さんの速攻っ…!」
思わず見入ったらしい1年が呟くと、澤村が腰に手を当ててふんぞり返った。
「そらお前、スガだって歴としたセッターなんだからなっ」
「「(うれしそうだ…)」」
『(うれしそうだなぁ…)』
西谷と菅原の会話を聞きながら、澤村の様子をチェックすることも忘れない唯月。
なるべく空気のように、目立ちすぎないように無難に動いていた唯月だったが、残念ながらサーブの順番が回ってきた。
ピンチサーバーをよくやっていたこともあって、サーブで手を抜くのは本意ではない。
唯月はいつものルーティンを終わらせると、呼吸を整えた。
「八賀一本ナイッサー!」
菅原の声が聞こえる。
唯月は高くボールを上げて、追いかけて高く跳ぶ。
振り下ろした右手に寸分の狂いなく当たったボールは、待ち構えていた澤村へ一直線に向かった。
「っく…!!」
威力を殺しきれず、澤村の腕に当たって弾かれたボールは吹っ飛ぶ。
「なんだあのサーブ…!?」
「すげえええ!!影山よりすげえええ!!」
「!ンだと日向ゴラァァ!!」
烏養コーチはぽかんとしているし、隣にいた教師で監督の武田は目を輝かせている。
西谷と菅原、田中、縁下、そしてサーブを取れなかった澤村までもが得意気な顔をしていた。
「すげえだろ八賀さん!」
影山に日向と呼ばれた少年に笑いかける西谷が、何故か一番得意気だった。
『次、いくから』
声を掛けた唯月はまたサーブを打つ。
踏み込みが甘かったせいか先程より威力は出ず、澤村は綺麗にセッターまでレシーブを返した。
「行け日向!」
田中の声が響く。
『ーーえ…』
響いたと同時にもうこちらのコートに戻ってきていたボールを見て、唯月は目を見開いた。
「うおお!?何だ!?」
「すっげぇドンピシャなトス…」
『…すごい、跳んだな』
烏養コーチはまたぽかんとして、その後ろをニヤニヤと笑う武田が見守る。
「ナイス日向!」
「日向次サーブ!」
一点を決めた日向は嬉しそうに飛び跳ねていて、影山が日向にサーブを促していた。
『(どのくらい跳んだんだろう…すごいバネ)』
ぼんやりと考えていた時だ。
「…………思うよ」
ぽつりと呟いたのは、東峰だった。
「?」
『…』
西谷が何事かと振り返る。
「何回ブロックにぶつかっても、」
東峰は真っ直ぐ前を見据えたまま、ほんの少し泣きそうに顔を歪めて、ぐっと手を握りしめた。
「もう一回、打ちたいと思うよ」
「ーー…それならいいです」
「?」
「それが聞ければ十分です」
エースと、エースを信頼する西谷の会話。
東峰は西谷の言葉の意味が分からないようだったが、西谷は微笑んでいた。
深く息を吐いて、目を開けた西谷の纏う空気が変わる。
『(ーーいい集中力)』
特訓の成果が出ている。
前よりもっと集中できるようになっている。
『(エースに、繋げることを最優先に)』