13
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
試合は月島のサーブから始まった。
青城の国見が綺麗にレシーブをすると、前衛の二人が飛び出す。
「誰使う!?」
滝ノ上の言葉を聞きながら、唯月はじっとコートの様子を見守った。
『!?』
及川がセットするかと思われたボールはしかし、高く跳んだ及川の強烈なスパイクで烏野コートへと叩きつけられた。
『いきなりツーアタック…』
及川は余裕の表情で、ネットを挟んで呆然としていた烏野を煽っているようだ。全員の表情が苛立ちを含んだそれに変わる。
青城のMB・松川のサーブを澤村が綺麗にレシーブする。田中と日向が飛び出し、影山のトスをスパイクしたのは日向。
しかしそのスパイクは待ち構えていた花巻にしっかりレシーブされ、セッター位置まで綺麗に返されてしまった。
「おい、青城のセッター」
『またツーで打つ気…!?』
スパイクモーションで助走に入る及川を見て、田中と日向がブロックしようと跳ぶ。
またしてもツーで打つと思っていたが、及川はそのままボールをセットしてレフトで待っていた岩泉へとトスを上げた。
岩泉が打ち込んだスパイクは東峰の足元に叩きつけられる。
『(そう簡単に超えさせてはくれない…よね)』
立ち塞がる青葉城西という名の壁は高く、厚い。
未だ若干の緊張を含んだ烏野と、熟練感がある及川率いる青葉城西は、やはり少し青葉城西に分があるように見えた。
「ツーでやり返したーッ!」
『!?』
冷静に分析していた唯月の目に飛び込んできたのは、トスを信じて突っ込んでくるスパイカーすらも騙したかのような、見事なまでの影山のツーアタック。
「負けず嫌いかよ…」
嶋田の呟きに、唯月は思わず口元に笑みを浮かべた。
『(そうだ、分があるとかないとか、そんなの最後までやらなきゃわからないんだ)』
最後にボールを落としたほうが負ける。繋げてさえいれば、誰にだって、どのチームにだって勝機はある。なにより烏野には。
『(夕が、守護神がいるんだもんな)』
逞しく見えるその小さな背中を、唯月はじっと見つめた。