5.
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「とうとう来た…。八賀のバイト先!」
煌々とした明かりが漏れる、とある居酒屋の前。嬉しそうな表情で仁王立ちしているのは菅原だ。
その後ろに同じような表情で立っている西谷と田中が続き、その様子を呆れたように見守る澤村と東峰。
バレー部の練習の後だ。
突然「そうだ、八賀のバイト先に行こう」と言い出した菅原の後に続いたのがこの4人だった。
「い、いいのか本当に…俺たち未成年だぞ」
「酒飲むわけじゃないし大丈夫じゃないっすか?」
「その辺もちゃんとリサーチ済みだべ!」
にっと笑う菅原に、西谷と田中が感嘆の声をあげる。
バイト先はどこかという質問に、唯月はなかなか答えようとはしなかった。あの手この手でしつこく話を聞いて、ようやく判明したのがつい先日。
その際に、未成年でも酒を飲まなければ入店は可能だと聞いている。
「八賀さん怒りますかね…」
ちょっとだけ不安そうな田中に、澤村が頷く。
「怒るだろうなぁ。『なんでいるの』って言うと思うぞ」
「すごい嫌そうな顔しそうだな…」
「俺は『やっぱり教えるんじゃなかった…』って言われるに一票!」
そう言いつつも帰ろうとしない辺り、菅原は肝が据わっているとその他4人は思った。
「入るぞー」
暖簾をくぐって扉を開けると、さほど広くない店内に何人かの客がいるのが見受けられる。
「いらっしゃいま……高校生か?」
「っあ、はい!」
尋ねてきた男は、店の制服であろう黒いポロシャツの胸の辺りに、「店長」と書かれた名札を付けている。
190cm近くある身長のせいで、かなり威圧的に見えた。
「酒は飲ませねぇぞ」
「飲みません!」
迫力に呑まれそうになる菅原を見て、ぞろぞろ入ってきた澤村たちも若干萎縮した。
「「「(身長高ぇ…!)」」」
「……もしかして烏野高校か?」
「そうです!」
西谷が元気に返事をすると、「店長」は声を上げて笑う。
「なんだ早く言えよ!唯月の知り合いか?」
「同級生です!」
「「後輩です!!」」
答える5人に、そうかそうかと頷いた「店長」は、店の奥の暖簾の掛かった場所に向かって声を掛けた。おそらく厨房だろう。
「おーい!唯月、ちょっと来い!」
「「「!」」」
『ーーはい。店長なんです…か……』
暖簾をくぐって出てきた唯月は、5人の姿を見て固まった。
5人はというと、「店長」と同じ黒いポロシャツを着て、腰から下のエプロンを着けて菜箸を持ったまま出てきた唯月に、嬉しそうに手を振る。
「お前の知り合いなんだろ!」
『……』
「店長」の言葉には答えず、唯月は嫌そうな顔をした。
『なんでいるの…。やっぱり教えるんじゃなかった…』
「「「(全部やった…!!)」」」
店に入る前に予想していた反応を、寸分違わずにやってのけた唯月。5人は妙な達成感を覚えた。
「飯食いに来てくれたんだろ。嫌そうな顔すんなっつーの」
にやにやと笑いながらバレー部員たちを席に案内した「店長」は、唯月に言う。
「昼用のメニュー持ってきてやれ」
『…はーい』
暖簾の奥に引っ込んだ唯月を見て、「店長」は笑った。