教えて、ヒーロー
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暗い部屋。私はヘッドホンを被って、パソコン画面を見つめていた。
自然と息が詰まる。幾度となく再生した動画だから、何が起こるのかなんて知っている。それでも…あのパワーを目の当たりにするのは、まだ慣れない。
例のシーンが近い。巨大ロボットが地響きを立てて現れて、派手にあたりを破壊して回る。受験生たちが散り散りになっていくところをカメラが追っている。ここで一人の女の子が逃げ遅れているのが映る。負傷したのか、瓦礫に足を取られるのか、逃げられない彼女を大きすぎる影が覆って——
その瞬間。
奇跡のように、彼は現れる。
地面を蹴って跳び上がり、ビルをも超える高さから、拳にどこか見覚えのある強大な力を纏わせて、
……大きな大きな仮想の敵を、その一撃で吹っ飛ばす!
圧倒的な衝撃が辺り一面を揺るがす。砂埃と瓦礫とロボットやその他諸々の残骸とが爆風に乗って視界を悪くする。仮想敵は黙してもう動けない。砂埃の中を落ちていく彼の右腕が、ボロボロに壊れているのが少し見えた。
「…………」
動画を止めて、背もたれに体を預ける。
試験は試験だ。あの仮想敵はポイントにならないし、受験生の安全はもちろん保証されている。倒す必要はどこにもない。その上、雄英入試の審査制「救助活動P」のことは受験生には知らされていない。
つまり彼は。力の使い方もまだ知らないかのように見える、それなのに大きすぎる力を持った不思議なあの男の子は。
「ピンチの他人を助けたい」というただそれだけで、自分が腕を壊すリスクや、一世一代の入試に落ちることや、他の何をもすべて投げ出して助けてみせたのだ。しかもきっと、ごく単純な衝動に任せて。
彼はヒーローの本質を知っている。
それは恐らく、一番大切なことだ。
彼と、話がしてみたかった。
自然と息が詰まる。幾度となく再生した動画だから、何が起こるのかなんて知っている。それでも…あのパワーを目の当たりにするのは、まだ慣れない。
例のシーンが近い。巨大ロボットが地響きを立てて現れて、派手にあたりを破壊して回る。受験生たちが散り散りになっていくところをカメラが追っている。ここで一人の女の子が逃げ遅れているのが映る。負傷したのか、瓦礫に足を取られるのか、逃げられない彼女を大きすぎる影が覆って——
その瞬間。
奇跡のように、彼は現れる。
地面を蹴って跳び上がり、ビルをも超える高さから、拳にどこか見覚えのある強大な力を纏わせて、
……大きな大きな仮想の敵を、その一撃で吹っ飛ばす!
圧倒的な衝撃が辺り一面を揺るがす。砂埃と瓦礫とロボットやその他諸々の残骸とが爆風に乗って視界を悪くする。仮想敵は黙してもう動けない。砂埃の中を落ちていく彼の右腕が、ボロボロに壊れているのが少し見えた。
「…………」
動画を止めて、背もたれに体を預ける。
試験は試験だ。あの仮想敵はポイントにならないし、受験生の安全はもちろん保証されている。倒す必要はどこにもない。その上、雄英入試の審査制「救助活動P」のことは受験生には知らされていない。
つまり彼は。力の使い方もまだ知らないかのように見える、それなのに大きすぎる力を持った不思議なあの男の子は。
「ピンチの他人を助けたい」というただそれだけで、自分が腕を壊すリスクや、一世一代の入試に落ちることや、他の何をもすべて投げ出して助けてみせたのだ。しかもきっと、ごく単純な衝動に任せて。
彼はヒーローの本質を知っている。
それは恐らく、一番大切なことだ。
彼と、話がしてみたかった。