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業務連絡アイロニー
「仕事だ、19時○○駅」
いつものように簡潔な呼び出しに応じて出向くと、先に待っていた相澤さんはこちらを一瞥し、すっと背を向けて歩き出した。
「用件は」
「着いてこい」
にべもない。よくあることだが、仕事においては珍しい。粘っても仕方なさそうなので、少し緊張しつつ着いていくことにした。
***
違和感に気付いたのは相澤さんが電車を降りてからだった。なんの騒ぎもない、彼の自宅の最寄り駅である。
「相澤さん?仕事なんですよね?」
「……」
返ってくるのは沈黙のみだが、もう分かる。無視ではなく黙秘である。この大人、またぞろ騙してくれた。
「合理的虚偽」
「ハイハイ分かりました」
まだ何も言ってない。仕方がないので話を強引に進めることにした。
「そういえば相澤さん、ご飯は食べたんですか?」
「いや」
「家には食料は」
「米と卵」
「今日は炒飯にしましょう、そういう気分です」
「分かった、先に帰って米炊いとく。これ財布」
「アイス買っていいですか?」
「好きにしろ」
「やった」
***
腹も満たされたところで、とりあえず文句を言うことにする。
「相澤せんせー?」
「何だ」
「仕事だと思って来たんですけどー」
「悪かったと思ってる」
雑誌などをめくりながら、さも棒読みで言う。絶対思ってない。
「私が同じことしたら絶対怒るくせに」
「…………」
「不公平な感じがして、悲しいです」
「………………」
「仕事じゃないなら帰ろうかな?」
「……………………」
何も言ってくれないので、いい加減拗ねたくなってきた。立ち上がろうとすると、
「……、」
その腕を掴まれる。
「なんですか」
「…………その、まぁアレだ。悪かった」
「ほんとですか?」
「ああ」
「アイスに免じて許しましょう」
「アイスの方か……」
嘘である。私が立ち上がったときにあからさまに焦ったのが可愛かったからだ。あと、座り直したときにこっそりホッとしたのも。
「別に仕事なんて言わなくたって、呼んでくれたら行くのに」
「……あー、……それだと来ないかもしれんだろ」
「え」
「何でもない。寝るぞ風呂入れ」
「えっえっ、相澤さん?ちょっとうわっ照れ隠しが横暴!」
グイグイとバスルームに押し込まれるのを振り切って抱きつく。なんだか一気に嬉しくなって、押しのけようとする手にキスをした。本当は唇に差し上げたかったのだけど、いかんせん筋力で負けてしまったので。
「仕事だ、19時○○駅」
いつものように簡潔な呼び出しに応じて出向くと、先に待っていた相澤さんはこちらを一瞥し、すっと背を向けて歩き出した。
「用件は」
「着いてこい」
にべもない。よくあることだが、仕事においては珍しい。粘っても仕方なさそうなので、少し緊張しつつ着いていくことにした。
***
違和感に気付いたのは相澤さんが電車を降りてからだった。なんの騒ぎもない、彼の自宅の最寄り駅である。
「相澤さん?仕事なんですよね?」
「……」
返ってくるのは沈黙のみだが、もう分かる。無視ではなく黙秘である。この大人、またぞろ騙してくれた。
「合理的虚偽」
「ハイハイ分かりました」
まだ何も言ってない。仕方がないので話を強引に進めることにした。
「そういえば相澤さん、ご飯は食べたんですか?」
「いや」
「家には食料は」
「米と卵」
「今日は炒飯にしましょう、そういう気分です」
「分かった、先に帰って米炊いとく。これ財布」
「アイス買っていいですか?」
「好きにしろ」
「やった」
***
腹も満たされたところで、とりあえず文句を言うことにする。
「相澤せんせー?」
「何だ」
「仕事だと思って来たんですけどー」
「悪かったと思ってる」
雑誌などをめくりながら、さも棒読みで言う。絶対思ってない。
「私が同じことしたら絶対怒るくせに」
「…………」
「不公平な感じがして、悲しいです」
「………………」
「仕事じゃないなら帰ろうかな?」
「……………………」
何も言ってくれないので、いい加減拗ねたくなってきた。立ち上がろうとすると、
「……、」
その腕を掴まれる。
「なんですか」
「…………その、まぁアレだ。悪かった」
「ほんとですか?」
「ああ」
「アイスに免じて許しましょう」
「アイスの方か……」
嘘である。私が立ち上がったときにあからさまに焦ったのが可愛かったからだ。あと、座り直したときにこっそりホッとしたのも。
「別に仕事なんて言わなくたって、呼んでくれたら行くのに」
「……あー、……それだと来ないかもしれんだろ」
「え」
「何でもない。寝るぞ風呂入れ」
「えっえっ、相澤さん?ちょっとうわっ照れ隠しが横暴!」
グイグイとバスルームに押し込まれるのを振り切って抱きつく。なんだか一気に嬉しくなって、押しのけようとする手にキスをした。本当は唇に差し上げたかったのだけど、いかんせん筋力で負けてしまったので。
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