天下統一恋の乱
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「…」
「そんな顔するな才蔵。早く済ませて帰ればいいだけじゃないか」
「はぁ…何で俺が…」
眉間に皺を寄せ不機嫌な顔をして歩いていると、隣にいる幸村に明るい笑顔で肩をばしっと叩かれた。
その温度差に更に気を悪くした俺は再びため息をついて軽く幸村を睨みつける。
当の本人はそんな俺を全く気にしていないようで、けろっとした顔で続けた。
「仕方ないだろ。これも任務の一つ何だから」
「…だからって何で俺が幸村に付き合わなきゃいけないの」
「む…それは…」
俺の問いに幸村は少しバツが悪そうな顔を見せると、ふいっと俺から視線を逸らした。
…ほんと、分かりやすい。
「幸村は女が絡む任務は苦手だもんね。…信幸さんも人が悪い、分かったうえで言葉巧みに俺を巻き込むんだから」
「流石才蔵。兄上の考えてる事も承知済みか。俺も早く才蔵のように兄上の言葉の意味を理解できるようにならなければ」
「馬鹿言ってないでとっとと行くよ」
「あ、待て才蔵!置いていくな!」
一人で勝手に関心している幸村を一瞥し、進む歩を速めると、幸村は慌ててそれに付いてくる。
そんな幸村をちらりと横目で見つつ、城で待っている※※※に思いを馳せる。
(…早く※※※の団子が食べたい)
本日何度目になるか分からない深いため息をつく才蔵であった。
一方その頃上田城では、任務で城を出た才蔵と幸村の帰りを待つ※※※が給仕を終え、庭先をぷらぷらと散策していた。
(あーあ、才蔵さんがいないと団子を作っても渡せないし…寂しいなぁ)
まだ数日しか城を空けていないのに長い間会っていないかのような感覚になる。
(それほど私にとって、才蔵さんの存在は大きいんだ…)
ふうと息を吐き顔をあげると、庭隅にある白い何かが視界に入った。
(あれ…なんだろう?)
何故か無性に気になった私は隅にある白い存在まで近づきその場にしゃがみ込む。
するとそれは小さな白い花で、目立ちはしないが複数咲いていてとても綺麗に庭隅を彩っていた。
「わあ、可愛いお花。何ていう花なんだろう?」
「それは雪華草という花です」
「きゃっ!?」
突然背後から声が聞こえ、驚いて声を上げてしまった。振り向くとそこには申し訳無さそうな顔をした男性が立っていた。
「すみません、驚かせるつもりは無かったんですが」
「いえ…大丈夫です。清広さんはこちらにいらっしゃったのですね」
「はい。才蔵さんから留守の間任されましたから」
表情を変えずに淡々と話す姿に思わず頬が緩んでしまう。
(ふふ…こういう所は才蔵さんと少し似ているなぁ)
愛しい人を思い出していると、清広さんが言葉を続ける。
「※※※様はその花が気になるのですか?」
「はい。あまりにも綺麗に咲いていて目にとまったので。…才蔵さんにも見て欲しいなって思って」
才蔵さんを想いながら目を細めて花を見つめる私に、清広さんがある提案をしてきた。
「それでしたら私が才蔵さんにその花を届けに行きましょうか」
「えっ?」
そういうや否や清広さんは音もなく私の隣に移動し、丁寧に花を摘み始める。
「だ、大丈夫ですよ!任務中でしょうし、何より清広さんに申し訳ないです」
「問題ありません。才蔵さんも今頃任務に飽きて帰りたがっているでしょうし…──それに、この団子も食べたがっている頃だと思うので」
「!」
(いつの間に?!)
清広さんの手には、給仕終わりにいつもの癖で作っていた団子が包まれた状態で持たれていた。
その団子の包と先ほど摘んだ花を壊れないように優しくしまい、現れた時と同じように忽然と姿を消した。
「……本当に行っちゃった…?」
私はその場にぽつんと残され唖然としていたが、段々と才蔵さんに団子を食べて貰えるかもしれないという嬉しい想いが強くなり、心の中で清広さんに感謝した。
「よし!今日の任務は終わりだな!」
日が西に傾きかけ辺りが暗くなり始める中、幸村達一行は任務を終え宿へと帰路についていた。
「まだ続くとか最悪…」
「あと二、三日の辛抱だ!見事熟して兄上に報告しよう!」
「はぁ…」
変わらず不機嫌そうな顔で悪態を付く才蔵に、隣では同じく変わらずけろりとした顔で頭に手を組み歩く幸村。
対象的な2人の影が道に延びる中、才蔵はぴたりと足を止めた。そんな才蔵を不思議に思った幸村が振り向き声をかける。
「どうした?才蔵」
「別に。ちょっと野暮用を思い出したから幸村は先に宿に戻ってて」
「?おう、わかった。気を付けろよ」
「誰に言ってるの」
そう言い残し、才蔵は踵を返しもと来た道を戻り始め、その先の少し道から外れた所にある薄暗い林へ入っていく。
日も沈み光が届かない暗闇の中で才蔵は再び足を止める。
「お前の任務はここじゃない筈だけど?」
「才蔵さんにお届け物がありましたので」
誰もいるはずのない闇へ向かって話しかけると、視線の先からぼうっと現れた清広が才蔵の問に答えた。
「届け物?何も聞いてないけど」
「なにぶん急にできた物でしたので。形は崩れていないと思います」
そう言い清広は包と小さな花束を手渡した。
それを受け取った才蔵は目を丸くしそれらを見つめる。
「…これは」
「お察しの通り、※※※様からのお届け物です」
「…そっか、※※※の…」
思わぬ届け物にふっと口許に笑みが溢れ、優しい眼差して包を開け中にある何よりも食べたかった団子を摘み口に含んだ。
柔らかな口溶けにずっと待ち望んでいた味が口一杯に広がり心が軽くなった。
「…うま。清広も気の利いた事をするようになったね」
「では私はこれで」
「ちょっと待って」
要件が済みすぐに姿を消そうとした清広に制止をかけ、今度は才蔵が何か懐から包を出し清広に差し出す。
「これを※※※に渡して」
「承知しました」
それを受け取ると今度こそ清広はすうっと闇に紛れ気配が無くなった。
一人になった才蔵は先ほど渡された花を見つめ歩き出す。
(…この花言葉の意味を知って清広に渡したのか……いや、※※※の事だ何も知らなかったんだったんだろうね)
※※※の事を思うと口許が緩くなってしまう自分に苦笑いし、また団子を頬張った。
「…きっと清広が言い出したんだろうね。ほんと、お節介になったもんだ」
空を見上げると、いつの間にか高くなっていた月が顔を覗かせている。
「早く終わらせて帰らないとね」
花をすっと懐に入れ、暗い夜道を歩き宿へと目指す。
その花はまるで君の色
(いつまでも変わらないお前さんに、)(何度でも思うよ)(…君にまた会いたい)
8.2.7
「そんな顔するな才蔵。早く済ませて帰ればいいだけじゃないか」
「はぁ…何で俺が…」
眉間に皺を寄せ不機嫌な顔をして歩いていると、隣にいる幸村に明るい笑顔で肩をばしっと叩かれた。
その温度差に更に気を悪くした俺は再びため息をついて軽く幸村を睨みつける。
当の本人はそんな俺を全く気にしていないようで、けろっとした顔で続けた。
「仕方ないだろ。これも任務の一つ何だから」
「…だからって何で俺が幸村に付き合わなきゃいけないの」
「む…それは…」
俺の問いに幸村は少しバツが悪そうな顔を見せると、ふいっと俺から視線を逸らした。
…ほんと、分かりやすい。
「幸村は女が絡む任務は苦手だもんね。…信幸さんも人が悪い、分かったうえで言葉巧みに俺を巻き込むんだから」
「流石才蔵。兄上の考えてる事も承知済みか。俺も早く才蔵のように兄上の言葉の意味を理解できるようにならなければ」
「馬鹿言ってないでとっとと行くよ」
「あ、待て才蔵!置いていくな!」
一人で勝手に関心している幸村を一瞥し、進む歩を速めると、幸村は慌ててそれに付いてくる。
そんな幸村をちらりと横目で見つつ、城で待っている※※※に思いを馳せる。
(…早く※※※の団子が食べたい)
本日何度目になるか分からない深いため息をつく才蔵であった。
一方その頃上田城では、任務で城を出た才蔵と幸村の帰りを待つ※※※が給仕を終え、庭先をぷらぷらと散策していた。
(あーあ、才蔵さんがいないと団子を作っても渡せないし…寂しいなぁ)
まだ数日しか城を空けていないのに長い間会っていないかのような感覚になる。
(それほど私にとって、才蔵さんの存在は大きいんだ…)
ふうと息を吐き顔をあげると、庭隅にある白い何かが視界に入った。
(あれ…なんだろう?)
何故か無性に気になった私は隅にある白い存在まで近づきその場にしゃがみ込む。
するとそれは小さな白い花で、目立ちはしないが複数咲いていてとても綺麗に庭隅を彩っていた。
「わあ、可愛いお花。何ていう花なんだろう?」
「それは雪華草という花です」
「きゃっ!?」
突然背後から声が聞こえ、驚いて声を上げてしまった。振り向くとそこには申し訳無さそうな顔をした男性が立っていた。
「すみません、驚かせるつもりは無かったんですが」
「いえ…大丈夫です。清広さんはこちらにいらっしゃったのですね」
「はい。才蔵さんから留守の間任されましたから」
表情を変えずに淡々と話す姿に思わず頬が緩んでしまう。
(ふふ…こういう所は才蔵さんと少し似ているなぁ)
愛しい人を思い出していると、清広さんが言葉を続ける。
「※※※様はその花が気になるのですか?」
「はい。あまりにも綺麗に咲いていて目にとまったので。…才蔵さんにも見て欲しいなって思って」
才蔵さんを想いながら目を細めて花を見つめる私に、清広さんがある提案をしてきた。
「それでしたら私が才蔵さんにその花を届けに行きましょうか」
「えっ?」
そういうや否や清広さんは音もなく私の隣に移動し、丁寧に花を摘み始める。
「だ、大丈夫ですよ!任務中でしょうし、何より清広さんに申し訳ないです」
「問題ありません。才蔵さんも今頃任務に飽きて帰りたがっているでしょうし…──それに、この団子も食べたがっている頃だと思うので」
「!」
(いつの間に?!)
清広さんの手には、給仕終わりにいつもの癖で作っていた団子が包まれた状態で持たれていた。
その団子の包と先ほど摘んだ花を壊れないように優しくしまい、現れた時と同じように忽然と姿を消した。
「……本当に行っちゃった…?」
私はその場にぽつんと残され唖然としていたが、段々と才蔵さんに団子を食べて貰えるかもしれないという嬉しい想いが強くなり、心の中で清広さんに感謝した。
「よし!今日の任務は終わりだな!」
日が西に傾きかけ辺りが暗くなり始める中、幸村達一行は任務を終え宿へと帰路についていた。
「まだ続くとか最悪…」
「あと二、三日の辛抱だ!見事熟して兄上に報告しよう!」
「はぁ…」
変わらず不機嫌そうな顔で悪態を付く才蔵に、隣では同じく変わらずけろりとした顔で頭に手を組み歩く幸村。
対象的な2人の影が道に延びる中、才蔵はぴたりと足を止めた。そんな才蔵を不思議に思った幸村が振り向き声をかける。
「どうした?才蔵」
「別に。ちょっと野暮用を思い出したから幸村は先に宿に戻ってて」
「?おう、わかった。気を付けろよ」
「誰に言ってるの」
そう言い残し、才蔵は踵を返しもと来た道を戻り始め、その先の少し道から外れた所にある薄暗い林へ入っていく。
日も沈み光が届かない暗闇の中で才蔵は再び足を止める。
「お前の任務はここじゃない筈だけど?」
「才蔵さんにお届け物がありましたので」
誰もいるはずのない闇へ向かって話しかけると、視線の先からぼうっと現れた清広が才蔵の問に答えた。
「届け物?何も聞いてないけど」
「なにぶん急にできた物でしたので。形は崩れていないと思います」
そう言い清広は包と小さな花束を手渡した。
それを受け取った才蔵は目を丸くしそれらを見つめる。
「…これは」
「お察しの通り、※※※様からのお届け物です」
「…そっか、※※※の…」
思わぬ届け物にふっと口許に笑みが溢れ、優しい眼差して包を開け中にある何よりも食べたかった団子を摘み口に含んだ。
柔らかな口溶けにずっと待ち望んでいた味が口一杯に広がり心が軽くなった。
「…うま。清広も気の利いた事をするようになったね」
「では私はこれで」
「ちょっと待って」
要件が済みすぐに姿を消そうとした清広に制止をかけ、今度は才蔵が何か懐から包を出し清広に差し出す。
「これを※※※に渡して」
「承知しました」
それを受け取ると今度こそ清広はすうっと闇に紛れ気配が無くなった。
一人になった才蔵は先ほど渡された花を見つめ歩き出す。
(…この花言葉の意味を知って清広に渡したのか……いや、※※※の事だ何も知らなかったんだったんだろうね)
※※※の事を思うと口許が緩くなってしまう自分に苦笑いし、また団子を頬張った。
「…きっと清広が言い出したんだろうね。ほんと、お節介になったもんだ」
空を見上げると、いつの間にか高くなっていた月が顔を覗かせている。
「早く終わらせて帰らないとね」
花をすっと懐に入れ、暗い夜道を歩き宿へと目指す。
その花はまるで君の色
(いつまでも変わらないお前さんに、)(何度でも思うよ)(…君にまた会いたい)
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