6.手紙
君の名は
この小説の夢小説設定▽夢小説について
原作、小説、写真集に掲載されてる読切の設定を元にオリジナル(+原作)ストーリーとなっています
逆ハー
▽夢主 (普通の女の子)
英名 Lily = Wammy
ふんわり清楚系女子
ワイミーズ出身者
L、M、Nに愛され懐かれ母のような存在
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ぼふっと音を立てて小百合はベッドに座る。
涙がぽたぽたとリズムよく脚に落ちてきた。
灰になってしまった大切な手紙が何度も頭の中で思い出される。
「ぐすっ…」
人を寄せ付けなかったあのメロが
初めて手紙を書いてくれたのに……
涙と一緒に鼻水までたれてきた。
このままいっぱい泣いてしまおう。
灰になった手紙を元に戻す事は不可能だし
悲しい気持ちごと全部、流してしまえば
案外スッキリするかもしれない。
部屋に入った時は綺麗なオレンジ色だった空が少しずつ暗くなっていた。
何度も鼻をすする。
涙の痕が頬に貼り付き完全に乾燥しているが
顔を洗う気になんてなれなかった。
ひとしきり泣いた後、小百合は虚脱状態で
ベッドに座ったまま、目の前の広い景色と
青色とオレンジ色が混ざり合った空をぼーっと眺めていた。
燃えてしまった手紙はもう仕方ないけど
人の手紙を燃やすなんて信じられない。
はぁ、と重たい息を吐き出す。
時計を見る。もう19時前になる。
Lには会いたくないけど、いつまでもメソメソしていたらワイミーさんに諭されてしまう。
顔を洗ってそろそろ夕食の準備しなくちゃ。
シチューをもう一度煮込め、パンを焼いて…
冷蔵庫にサラダが残ってたかな…
なんて、考えていると部屋のロックが解除される音が聞こえた。
ワイミーさんが来てくれたのかな、と
一瞬思ったが、違った。
踵が隠れる程の裾の長いジーンズを引きずり
裸足でぺたぺた床をあるく音。
今、1番顔を合わせるのが気まずい人。
「小百合さん」
「……あっち行って」
「お話があります」と図々しく隣に座るので
「顔も見たくない」と言ってぷいっと顔を背けた。
別に、もうそれ程怒っているわけでない。
気まずいのと鼻水と涙の痕を見せるのが恥ずかしかったから。
怒ってますアピールをするもLは全く気にせず顔を近付け、覗き込んでくるから
体ごと向きを変え、Lに背を向けた。
あぁ、これではますますLの顔を見れない。
気まずい空気が流れる。
頬に残る乾いた涙と鼻水の痕を手の甲で
拭いていると、後ろから腕が伸びてきて
Lの体温が背中から伝わってきた。
ぎゅっと抱きしめられた。
「…嫌なんです」
弱々しい声だった。
「小百合さんが……」
一瞬、躊躇い、少しの間をあけて
Lはゆっくりと話し始めた。
「……小百合さんが……私以外の人にあんな
表情をするのが」
小百合の肩に頭を埋めて苦しそうな声で
Lは続ける。
「でも……それ以上に、小百合さんに……あんな表情をさせる、手紙の内容が……好きだ、と言っているようで私にはどうしても許せなかった」
壊れ物を扱うかのように手紙に書かれた文字に優しく触れ、手紙の差出人に焦がれ、愛しい表情を浮かべた小百合が、〝寂しい、会いたい〟と書かれたそんな表情をさせた手紙がLには耐えられなかったのだ。
思わず振り向いてしまった。
だって、それって……
「ヤキモチ………?」
「ワタリに怒られました」
更に強く抱きしめLは不貞腐れたように言う。
「まぁ……、手紙を燃やすのはどうかと思うわ」
「メロの手紙はラブレターでした」
「どこが…」
呆れて小百合は笑ってしまった。
「…小百合さん、もう泣いてませんか?」
親に怒られないかとびくびくしている子どもみたいな瞳で顔色を伺うようにじっと見つめられる。
泣いてしまった事、泣かせてしまった事
Lは気にしてくれてたみたい。
ヤキモチを妬いて、そんな顔で見つめられたら許すしかない。
とことんLに甘い自分にやれやれと言うように小百合はため息をついた。
「うん、もういいよ。もう泣いてない。
それより、メロとニアにちゃんと謝ってね」
「……………………嫌です」
Lは目を逸らす。
「2人が一生懸命書いてくれたのよ?」
「小百合さんは他の男がラブレターを一生懸命書いたからといって、告白を受け入れるんですか?
……私というものがありながら」
Lは小百合にもたれかかった。
後ろから体重がかかるので小百合は前に傾く。
「わ、」
「小百合さん、酷いです」
更に体重をかける。
「わぁーっ!重たい、重たいっ!」
「浮気は許しませんよ」
「おーもーたーいー!」
手加減してくれてるのが分かるから
小百合は笑いながら大袈裟に叫ぶ。
すると、体重をかけるのを止めたLが
小百合を引き寄せ、腕の中に閉じ込めた。
今度は逆に小百合の体重がLの方にかかっている。
じゃれていた時と変わって
Lは申し訳なさそうにポツリと呟いた。
「………小百合さんを泣かせてしまった事は謝罪します。すみませんでした」
あ、手紙を燃やした事に謝罪はないのね………。
もう手紙を燃やさないでね、と言おうとしたその時に、Lが耳元で「これからは我慢します」と小さく囁いた。
え…?
「あ、小百合さん。そろそろ夕食の時間だそうです。
ワタリが待ってるので、一緒に行きましょう」
いつもの飄々とした話し方に戻っていた。
Lに手を引かれ、リビングへと向かう。
わたしは顔を洗わずに来てしまったので
Lに鼻水と涙の痕を袖で拭かれワイミーさんに
心配されてしまい、悲しそうに呟いたLの最後の言葉を、意味を、意図せず知らん振りしてしまった。