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君の名は
この小説の夢小説設定▽夢小説について
原作、小説、写真集に掲載されてる読切の設定を元にオリジナル(+原作)ストーリーとなっています
▽夢主 (普通の女の子)
英名 Lily = Wammy
ふんわり清楚系女子
ワイミーズ出身者
L、M、Nに愛され懐かれ母のような存在
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「あ、でもワイミーさんが正義の在り方は人それぞれで色んな考え方があるって言ってたから…、
LにはLの正義があって良いのよ、暴力はダメだけどね」
花が咲いたように微笑んでいる彼女に
嘘偽りは無く、外面が良いだけとも言えない。
心の底から本当にそう考えている、思っている、と感じさせてしまう程に彼女は堂々としていた。
小百合さんは苦労や貧しい経験をした事のない箱入り娘なのだろうか。
正義を優しさ、だと言うならば
この世の中、暴力や争いは起きない。
優しさで解決してしまう程、簡単な世の中では無い。
優しさや愛で人は救えない。
「正義とは法であり、法が正義に基づいている。
人を救えるのは法律だけです」
「L、…人を救えるのは人の優しさだけです」
私の手をそっと握り小百合さんは悲しげに微笑んだ。
7歳とは思えない凄く大人びた表情を向けて。
悲しい微笑みに隠された彼女の心の内を知る事は無いが彼女は箱入り娘では無く周りの子ども達より早く大人にならなければいけなかった、そんな環境で育った純粋無垢な人なんだと彼女を見て思った。
「だってLもわたしも、ワイミーさんの優しさで救われたんだもの。ワイミーさんが助けてくれなかったら…ずっと独りぼっちのままだったかもしれない」
彼女の言う通りだった。
ウィンチェスターの鐘が鳴り響く雪の降る夜。
路地裏に居た私に手を差し伸べてくれたのは
ワイミーさんだ。
そして、私が望む環境と自由を与えてくれた。
何かを強要する事もなく、見返りを求める事もなく
ワイミーさんはいつも微笑みかけ私を見詰めていた。
そうか、私はワイミーさんに救われたのか。
これが、人の優しさというものなのか。
彼女の言葉は胸に強く、奥深く貫き
氷が溶けていくようなじんわり温かくなる、
そんな感覚がした。
正義を優しさだと
人を救えるのは人の優しさだけだと言う。
小百合さんは私の知らない世界を見てきた。
いつか、彼女の瞳を覗き込んでみたい、
そこから何が見えるのか。
どんな世界が見えるのか。
扉をノックする音が聞こえワイミーさんが
「L、お嬢様、夕食のお時間ですよ」と声を掛けに来た。
17時30分過ぎになるとこの施設の子ども達は夕食の準備をして皆で一緒に食べる決まりらしい。
小百合さんは先程とは打って変わって
元気良く返事をして笑顔で振り向いた。
「また来てもいいかなぁ?」
「………はい」
彼女の笑顔はなんだか少し眩しくて目を合わせることは出来なかった。
初めて誰かともう一度話をしてみたいと思った。
この温かいものはなんだろう、
彼女の温かさは消えることは無かった。