Valentine
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…なに」
じーっと丑嶋の顔を見てる麻希を
横目で見てすぐゲームに視線を戻した。
「馨くん機嫌悪い?」
「別に」
帰り際の車内でも一言も話さず、
話しかけても「あっそ」と「別に」を
繰り返されるだけだった。
晩御飯を食べてる時もずっと。
「あのね、馨くんが飲みに行かないって…
言うから…えっと……」
「だから?」
「えっと…そのぉ…」
頬を少し赤く染め斜め下を見ながら
小さい声でポツポツと話し出した。
「あの…馨くんに…今日……渡したいものがあって」
視線を上げると丑嶋と目が合った。
麻希は恥ずかしくなって目を逸らし
小走りで台所へ向かう。
冷蔵庫から甘い匂いのする小さなお皿を
取り出して恥ずかしそうにちょんと丑嶋の隣に座った。
「あの……これ…馨くんに…」
丑嶋の目の前にお皿を置いた。
目の前に置かれた可愛いハート型の
ガトーショコラをじっと見つめた後
隣りに座る麻希に視線を移した。
「俺に、なに?」
「ばッ!…バレンタインですっ」
じっと見つめられ恥ずかしくて声が裏返った。
「声、裏返ってンぞ」と笑いつつ
差し出されたガトーショコラを食べた。
何も言わず口いっぱいに頬張って
食べてる丑嶋を見て幸せな気持ちになった。
「美味しい?」
「うまい」
「良かったぁ!あ、珈琲いれるね」
立ち上がった瞬間、手首を掴まれ引き寄せられた。
麻希は体勢を崩し丑嶋の膝の上に倒れてしまい
というよりか、丑嶋の腕ががっちりと麻希の
腰を支えているので膝の上で向きあって抱きしめられている。
「あ、あの、馨くん?」
返事をする代わりに丑嶋は優しくキスをした。
先程までのイライラした空気は消えていて
丑嶋の機嫌もなおっていた。
「馨くん、なんで機嫌悪かったの?」
「……甘いもの食べたかったから」
(ヤキモチとか絶対言えねェ……)
「ふふ、そっかぁ!」
丑嶋の首に腕を回し抱き着き
麻希からそっとキスをした。
今日のキスは何だか甘い味がした。
fin.