Valentine
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そんなやり取りには目もくれず
債務者の支払い金額と膨れ上がった借金を
計算している丑嶋の方へ近付いて「馨くん」と
名前を呼んだ。
「どうぞ」
手作りクッキーをじっと見つめた後
麻希の顔に視線を移し
「おう」と一言、片手で受け取りすぐに仕事へと戻った。
「社長ォ〜!今日は回収終わったし
麻希も居るし飲みに行きましょ!」
「イイっすね!行きましょ!」
柄崎とマサルが飲みに行こうと誘ってくれたので
せっかく事務所に遊びに来たしと思い
麻希も「いいよ」と頷いた。
「じゃあ、いつもの居酒屋でいいですか?」と
高田は一言も話さない丑嶋をちらっと見て確認した。
「あ?好きにしろよ。俺は帰る」
丑嶋はそう言うと書類を棚に片付け
携帯と煙草をポケットに入れてパソコンの電源を切った。
「え!麻希も行くンスよ…?」
いつもなら麻希を1人にさせる事はないのに
今日は珍しく飲み会を断り帰ろうとする丑嶋を柄崎は慌てて止めた。
「だからなンだよ。柄崎、ちゃんと戸締りしとけよ。
んじゃあ、お疲れ」
「え、あ、社長ォ?」
丑嶋は大股で歩き事務所を出て行ってしまった。
(馨くん、どうしたんだろう…)
「…ごめんなさい!やっぱりわたし今日は帰ります!
本当にごめんなさい。また飲みに行こうねっ」
麻希は柄崎とマサルにペコッと頭を下げ
「お疲れ様です」と言って慌てて丑嶋を
追いかけに行った。
「あー…麻希さん」とがっかりしてるマサルに
「社長ォ…」としょんぼりしてる柄崎
そんな2人を横目に高田は加納に聞いた。
「どうしたんですかね…珍しく機嫌悪くなってましたね…社長」
「ふふふっ!社長、ヤキモチじゃないですかぁ?」
加納の代わりににやにやしながら小百合が答えた。
「あぁ。そうだな。バレンタインだもんな」
「あぁ…なるほど」と小百合と加納の会話を聞いて高田は納得した。
バレンタインチョコがみんなと同じというか事が原因だろう。
丑嶋社長もヤキモチ妬くんだ、と口元が緩んでしまった。
「ア?社長がなンだよ、ヤキモチ?何がだよ?おい!!小百合!」
「さぁ?」と全く気付いてない柄崎に説明するのが面倒くさくて小百合は笑ってとぼけた。