揺蕩う
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「マサル、今日なンか予定あんのか?」
1日3割のパチンコ通いのおばちゃんの取立てや回収、
電話などの仕事に対してマサルはいつも
「めんどくさい」だの「あの客腹立つ」だの「ダルい」とか
文句を垂れつつ仕事してるのだが
珍しく今日は文句も言わずに黙々と仕事をしてる。
少し目を細めてじっと見つめてくる丑嶋に
マサルは恐る恐る口を開いた。
「えっと、この後…麻希さんと飲みに行きます」
「あっそ」
丑嶋は短い返事をして、次の奴隷くんへの回収に
柄崎と事務所を出て行った。
「高田さん…オレなんか悪い事言いました?」
「あー、マサルは何も悪くないというか…」
高田はうーんと腕を組み、
金主に会った時のような機嫌の悪さで
音を立ててバンッと思い切り閉められた扉を見詰める。
「社長って…ぜってぇ麻希さんの事
好きだと思うンスよねー」
「マサルにしては鋭いな」
パソコンやファイルの隙間から
ちらっと顔を出した加納が少し口角上げて
丑嶋の話題に食い付いた。
「え!!!!」
「そーッスよね!!」「やっぱり!」
と上半身乗り出して加納に聞き出す
「いつから!?え、つか付き合っては無いンスよね!?」
「まぁ、おれは麻希ちゃんとそんな仲良くなかったからな。詳しい事は知らないが付き合った事は無いぞ。付き合ってたら柄崎がもっとうるせぇーよ」
「確かに」
加納の言葉に高田がうんうんと何度も頷く。
1日中、社長!社長!とうるさい柄崎さんの事だから、彼女なんて出来たら彼女に喧嘩売りそうな勢いだな…
なんて頭の中で想像したらクスッと笑ってしまった。
「じゃあ、麻希さんは!?」
「さぁ?麻希ちゃん、誰にでも優しいからなァ」
加納はどうだろうな。と呟いて
奴隷くんに催促の電話をかけだした。
「あ〜っ!!」とマサルは短い髪の毛を
ぐしゃぐしゃとかいて頭を抱える。
「…やっぱ勝てねぇーのかな」
机に突っ伏してボソッと本心が出てしまった。
「マサル、何か言った?」
隣で頭を抱えて落ち込んでるマサルを見て
高田は心配そうに見る。
ガバッと勢いよく顔を上げて
「なんでもないっス!」と言うと
マサルは再び黙々と仕事に手をつけだした。