届かない想い
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「麻希ー、泊まりに来た」
玄関で靴を脱いでるとパタパタと足音を立てて
麻希が笑顔で迎えてくれた。
「滑皮さん!おかえりなさーい」
「あぁ、ただいま」
最近、泊りに来る事が多くなった滑皮に
麻希は「おかえりなさい」と
迎えてくれるようになった。
「今日は?ご飯?お風呂?」
「麻希に会いに来た」
「そっかぁ」と照れながら麻希はクスッと笑う。
そんなお決まりのやり取りをしながら部屋へ向かった。
ベッドとテーブル、テレビ、棚…
必要最低限の家具しか置いてなく
いつ来ても綺麗に掃除されている部屋で居心地が良い。
「滑皮さん、ごめんね、散らかってて」
テーブルの上に高校の教科書とノートが数冊
開いたまま置いてあり
麻希はテーブルの上を片付け始めた。
「勉強中か」と呟きノートを手に取り
麻希の可愛いらしい字を眺める。
「テスト期間中なんだ〜」とため息混じりに
シャーペンを持ち麻希は
難しい数式や図形と格闘し始めた。
「ふーん、大変だな」と教科書とノートを
交互に睨めっこしてる麻希と同じように
滑皮も教科書とノートをペラペラとめくり始めた。
「ご飯、食べたかったら言ってね?
あと、お風呂も沸いてるから…入ってね?」
「あぁ、ありがとう」
暫く、文字を書く音と教科書を捲る音が続いた後
滑皮が口を開いた。
「なぁ、これ間違ってンぞ」
「え?」
問題を解くのを一旦中断して顔を上げると
先程、解き終わったばかりの数学テキストを開いて
滑皮は「ここ」と指差していた。
「余弦定理使って…」と麻希のシャーペンを手に取り
さらさらと式を書き「これ代入して解いて…」と
簡単に答えを導き出した。
「わぁ!すごーい!!滑皮さん頭良いー!!!」
「だろー? 教科書読んだら楽勝、楽勝」
「すごーい!滑皮さん、滑皮さん!
ここも教えて下さい!」
目を輝かせてる麻希の隣に座り
教科書を広げ一つ一つ教えてあげ
麻希との勉強会が始まった。