汚いヤツと綺麗な宝石
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ガンッッ……!!!
室内に金属バットの鈍い音が響き渡り
柄崎はそぉーっと目を開けた。
(痛くねェ…?)
「死んだな」
丑嶋は金属バットを放った。
カラン、カランと音を立てて床に転がる。
丑嶋が金属バットを振り落とした先は
柄崎では無く、すぐ近くに居た黒いヤツだった。
見事、新聞紙の上で無惨にぺしゃんこになっている。
「つーか、いつまで抱き合ってンだよ」
先程までの殺気は消えていて
怒ってる雰囲気でも無く
丑嶋の機嫌は至って普通だった。
ヤツが現れた事と抱きしめてる事に怒られると
身構えてた柄崎は丑嶋の一言で拍子抜け
「あ…すみません」と両手をぱっと離した。
麻希は安心したのかスっと離れ
「気持ち悪かった!!!久しぶりに見たぁ。
ねっ」と柄崎に安堵の表情を向けた。
恐らく、先程まで緊迫してたこの状況を
把握出来てないのは麻希だけだ。
いつもと変わらずふわふわ笑ってる。
高田とマサルは何か怒られやしないか
冷や冷やして微動だにせず立ってるし
柄崎も丑嶋の様子を恐る恐る伺っている。
「柄崎、それ片付けといて。お前ら
遊んでねェーで仕事しろよ」と3人に言い
丑嶋は革椅子に座った。
「で。なンで麻希が居るンだよ?」
「暇だったから、遊びに来ちゃった」
柄崎に呼ばれた、片付けを手伝ってた、と
丑嶋に言うと後で柄崎が怒られるのを
知っていた麻希はあえて何も言わず
「遊びに来た」とだけ伝え微笑む。
「仕事終わるまで大人しくしてろよ」
「はーい」
(ほんと麻希ちゃん、天使)
(ほんと麻希さん、神)
高田とマサルは同じ事を思いほっと胸を撫で下ろした。
機嫌が悪くなる事もタバスコの刑になる事もなかった。
麻希が居ると、自然とその場が和む。
今日は平和に1日が終わっていく。