眠れない夜は
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(いきなり過ぎる…)
とろけるような幸せなため息を布団の中で付き
隣で静かに眠る丑嶋をじっと見つめ
心の中で話しかける。
(あの時から…ずっと馨くんでいっぱい…)
中学生の頃を思い出しては
自然と口元が緩み眠りの浅い丑嶋を
起こさないよう布団で口元をおおい深く息を吐く。
ドキドキと脈打つ心臓の音と
隣で深く呼吸をしてる静かな寝息の音が
幸せな気持ちにさせてくれる。
「…ん」
寝返りを打ち、丑嶋の顔がこっちを向いた。
(…眼鏡取ると昔のままだなぁ。ちょっと目付き悪くなったくらいかな)
まじまじと丑嶋の寝顔を見ては
綺麗な顔立ちだなー、と惚れ惚れする。
(…馨くんって鼻筋きれい、唇ぶ厚いし…かっこいい…)
唇、柔らかかったなぁ…と思い指で
丑嶋のふにっとした唇をそっと撫でる。
キスをされた感触を思い出し胸があつくなる。
(好き…大好き、馨くん)
「…呼んだ?」
突然、柔らかい唇が動き
薄く片目を開けて眠そうな声で話しかけられ
麻希は慌てて指を引っ込めた。
タイミングの良い丑嶋の返事に
声に出てたのかと思いびっくりして口元を布団で隠す。
「ごめんなさい、起こしちゃった…?」
「…ん、…呼ばれた気がした…」
「ふふふっ、呼んでないけど、…ちょっと呼んだかも」
「…んだよ、ソレ。今日は引っ付かなくていーの?」
丑嶋は悪戯な笑みを浮かべ少し腕を広げて
厚い胸板へと誘ってくる。
「え、あ…えーっと…お、お邪魔します、」
「おう」
ぎこちなく恥ずかしそうにぎゅっと抱き着くと
丑嶋は逞しい腕で優しく麻希を包み込んだ。
服をぎゅっと掴み胸板に顔を埋めると
ふわっと柔軟剤の匂いが鼻いっぱいに広がる。
(同じ柔軟剤を使ってるのに馨くんの着てる服の方が
いい匂いな気がする。…馨くんの匂いかな?)
なんて思いながら
スーッと深呼吸をして丑嶋の匂いを堪能してると
「やっぱうさぎみてぇだな」と鼻で笑われた。
「明日も仕事だろ?早く寝ろよ」
「うん、おやすみなさい」
「おやすみ」
優しい声でそう言うと丑嶋はすぐに寝てしまった。
目が冴えて寝れないでいたのに
丑嶋の腕の中で匂いを感じていると
さっきまでうるさかった心臓の鼓動も
なんだか心地好くて
すぐに眠気が襲ってきて瞼が重くなる。
麻希はもう一度深呼吸してゆっくり瞼を閉じた。