再会
君の名は
この小説の夢小説設定▽夢小説について
原作とは違う設定があるかもしれません
原作に描かれてない設定は
勝手に作り上げてます
▽原作で新たな情報が入ればその都度
編集します
▽夢主
幼なじみ
ふんわり愛され系女子
過去の話は長編と短編で
少しずつ触れていきます
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手首を強く掴まれたまま
麻希と丑嶋は事務所から出て
雑居ビルの階段の踊り場へと移動した。
お互い向かい合って立ってるが
無言のまま気まずい空気が流れ
2人の間をふわりふわりと風が通り抜ける。
麻希の手首をそっと離し
沈黙を破ったのは丑嶋の方。
「…何しに来たの」と冷たい口調で麻希に言い放つ。
「え……と、この間の…お礼…伝えなきゃと思って」
丑嶋は何も言わず麻希を見つめてる。
麻希は頬を赤く染め恥ずかしそうに
丑嶋の目を見てゆっくり口を開いた。
「馨くん、助けてくれてありがとう」
「別に…助けた訳じゃねぇ」
「え、あ…そっか……」
予想外の答えに何も伝える事が出来なくなってしまった。
2人の間に再び沈黙が流れる。
中学生の頃は中身のない会話、その日あった出来事や
つまらない話でも会話が弾んでいたが
今の状況では何から話せばいいのか
何を話せばいいのか、分からない。
麻希は頬を赤く染めたまま下を向いてしまう。
数年ぶりに大好きな人に会えた
喜びと緊張と不安とが入り交じり
中々、言葉が出ないでいた。
そんな麻希を見兼ねた丑嶋は
「用が無いなら戻るわ」と
踵を返しゆっくりとした動作で階段を降りていく。
「あ、馨く…うわっ!!?」
本音を言えないで居た麻希は
慌てて丑嶋を追い掛け階段を降りようと
1歩2歩と踏み出したが低めのヒールが
階段の凸凹に引っかかり前に居る丑嶋の方へ
顔から落ちそうになり思わず目をギュッとつぶってしまった。
ふわりと柔軟剤のいい匂いと
少し煙草の匂いがする。
反射神経の良い丑嶋が麻希を
抱きしめるように腕を背中に回しそっと支えていた。
目を開けて丑嶋との距離にびっくりする。
転けそうになり姿勢をくずしてしまった麻希は
咄嗟に丑嶋の首に手を回し抱き付いてしまったようで
顔が真っ赤に染まり全身が熱くなる。
「ごめんなさい」
恥ずかしさのあまり慌てて離れようとするが
丑嶋は腕に力を入れ自分の方へさらにギュッと引き寄せた。
まるで〝離れるな〟とでも言ってるように。
「なんで…お前はいつも……」
「え?」
耳元で丑嶋の声が撫でるように聞こえた。
私は自分の心臓の音がうるさくて
全く聞き取れなかった。