抱き締めてルピナス
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二人してリビングで寛いでいると、環くんの甘えたモードは加速した。
いつもよりくっついて座ったり。
いつもより近くに彼の顔があったり。
キッチンに居た時のようにぎゅうっと抱き締めてきたり。
今は、座る私を後ろから抱き締められる形で環くんとテレビを見ている。
『あははっ』
「…」
私がテレビを見て笑っている間も、環くんは私の首元に顔を埋めていた。
「…」
『環くん、今日は甘えたさんだねぇ』
「…嫌?」
『んーん、全然』
今度は私の腰辺りに腕を回してくる環くん。
私は彼の方を振り返り、そんな彼の頭を撫でた。
『ただね、何かあったんじゃないかな~って。心配』
「…」
私がそう言うと、それまでスリスリと擦り寄って来ていた環くんは、ピタリと動かなくなった。
「…」
『…』
「…実は…」
『うん?』
「これから…モカに会える時間が、少なくなる…かもしれない…」
その言葉だけ聞けば、普段の私なら落ち込むはずなんだけれど。
環くんは相当悲しそうな様子だったため、そんな彼を見ていると"元気付けてあげなきゃ"という思いの方が強く感じた。
「ウチの高校、全寮制になるんだって…しかも来月から」
『え、来月から?それはまた…すごい急だね…』
私の声に環くんはコクンと頷く。
「うん…只でさえ、今は校外活動(ヒーローインターン)で会えないことも多いのに…」
『でも学校側がそうするって決めちゃったんなら、仕方無いよねぇ』
嘆きモード全開の環くんに私は思わず苦笑した。
「…これ以上モカに会えなくなるなんて絶対無理だ、耐えられない…辛い…っ!」
『大丈夫だよ、環くんは強い子だし』
「いや無理…普通に無理…!」
『絶対大丈夫。よしよし』
後ろから私の肩に顎を乗せたまま項垂れる環くんの髪を、わしゃわしゃと撫でる。
『私も寂しいよ?でも、環くんの頑張ってる姿が好きだから、雑誌とかでそれを見るのも楽しみなんだ』
「…」
環くんと会う時間が少なくなると聞いて、寂しくない訳がない。
けれど、テレビや雑誌に載っている彼の姿を見るのが好きなのも本当の話だ。
まだ、プロヒーローほどテレビや雑誌に載っている訳じゃないけれど。
…環くんの通う学校は雄英高校という、プロやトップヒーローを数多く輩出するエリート高校らしい。
そして彼は、そんなエリート高校の"ビッグ3"と呼ばれる、プロ顔負けの技術者であるらしい。
だから世間の多くが、環くんに期待しているのだとか。
凄いよね。
ヒーローや"個性"の話に然程詳しくない私でも、彼が"凄い"ってことだけは分かる。
『環くんがヒーロー活動頑張ってるとこ、見たいなぁ…?』
そう言って環くんを見上げると、彼は小さく溜め息をついた。