アイを込めてアイさつを
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その後、僕は校内でカフェと話すタイミングで何度もキスをした。
もちろん授業中以外でね。
周りから見ればキスに見えるかもしれないが、これは挨拶だ。
そう、只の挨拶。
そういうことにしといてくれ。
ホームルーム前、休憩時間、ランチタイム…
周りからの視線とか何を言われているかとか、そんなことはもうとっくに気にならなくなっていた。
今だってそうだ。
「…」
『っ…』
唇を交わし(と言うか一方的に押し付け)、顔を離す。
そしてカフェに何を言われるより先に、僕はこの場を去る。
いや、正しくは、去ろうとした。
『も、物間くん!』
クイッと制服の裾を引っ張られ、僕はその場に留まることになってしまったのだった。
「…どうしたんだいカフェ?」
『な、なんで…』
カフェは俯きながら声を絞り出した。
それすらも可愛いと思う。
『なんでこんなことするの…!?』
「(あぁ、可愛…)」
顔を上げたカフェの顔を見て、僕は言葉を失った。
彼女の目には涙が浮かんでいたから。
「へっ…!?あ、いいいいや、だからこれは只の挨拶でっ…」
『それが意味分かんないって言ってんの!』
カフェが珍しく声を張り上げた。
どうしよう。
泣くほど嫌だったのか。
カフェを傷付けたくなんかなかった。
なんて、相手の気持ちも考えずに居た僕が言えたことじゃない、か…
「…泣くほど嫌だったなんて驚きだよ」
素直に謝れば良いのに、口から出たのは別の言葉だった。
まったく、我ながら呆れてしまう。
「…」
"嫌じゃないよ"。
僕は無意識にカフェに、そう言ってほしいと思っていたんだ。
『…嫌だよ。もうやめてよ、こんな挨拶』
「!」
頭が真っ白になった。
ハッキリ言われた。
"嫌だよ"って。
カフェは優しいから、嫌だと思っていても、それを僕に言わないものだと思っていた。
それより…
「(なんだ、これ…苦しい。痛い)」
胸がとても苦しい。
今すぐここから逃げ出したい。
「分かった。これからはしないよ、悪かったね。それじゃ」
これ以上ここに居ては心臓が押し潰されてしまう。
そう思い、僕は早々にその場を去ろうとした…が。
『待ってってば…!』
グッと手を引かれ、その場に引き止められた。
「な…」
『話はまだ終わってないよ』
ドクンドクンと心臓が音を立てている。
あぁ、カフェに嫌われた。
『物間くんに言いたいことがあって…実は…』
嫌われた嫌われた嫌われた。
もうだめだ。
『ちゃんと聞いてよ、物間くん!』
僕の手を握る手にぎゅうっと力を込められ、ハッとする。
『実はね、私』
「(嫌だ、聞きたくないっ…!)」
『物間くんのことが、好き…!』
カフェの口から出た言葉は、僕の考えていたものとは違うものだった。