ポッキーの日
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「こうかしら?」
「早食いでもないぞ」
結局、ポッキーゲームとは何かを分からずに居る轟くんとヤオモモ。
とめどなく溢れ出て来る二人のインスピレーションが面白くて、みんなは答えを教えずにそんな二人を眺めていた。
二人以外はポッキーゲームが何かを知っている。
『(…そろそろ来そうだな…)』
自意識過剰かもしれないが、先程から私の方をチラチラと見てくる子が何人か。
"ここで誰かとポッキーゲームしろ"とか無理難題を押し付けてきそうな雰囲気だ。
『み、みんな紅茶無くなってるね。私、おかわり淹れてくる!』
「あら、お紅茶でしたら私が…」
『良いよ良いよ、ヤオモモはゆっくりしてて!』
私はそそくさとその場を離れ、キッチンへと向かった。
先手必勝…いや、逃げるが勝ちだ。
『ふぅ…』
私はお湯を沸かしながら、軽く息をつく。
『ん?』
キッチン台の上に開封されたポッキーの箱がいくつか置いてあるのが目に入った。
『(ほとんど空箱じゃん。後で纏めて捨てよう)』
私は空箱を端に寄せ、その箱の中に何本か残っていたポッキーをポリポリと食べる。
『(そういえば、紅茶用のミルクとレモンも少なくなってたな…)』
ここからでも、みんなが盛り上がっているのが見えた。
私はそれを尻目に冷蔵庫を開ける。
「邪魔だ」
『んぉ、』
突然後ろから声が掛かり、驚いた拍子に、咥えていたポッキーが折れてしまった。
床に落ちる前に、私は折れたポッキーを素早くキャッチする。
『ごめ…って、爆豪くん?』
あれ、居たっけ?なんて失礼なことを思いながら、私は一歩下がる。
すると爆豪くんは冷蔵庫からペットボトルに入った飲料水を取り出した。
『あ、飲み物取りに来たんだ?珍しく菓子パ参加しに来たのかと思ったよ』
「菓子パァ?…あぁ、それでこの騒ぎか…テメェ等うっせェんだよ」
チッと舌打ちして、ゴクゴクとペットボトルの水を飲む爆豪くん。
彼の身体には無駄な脂質等一切無い。
お菓子とかあんまり食べないんだろうな。
『…爆豪くん、ポッキーゲームって知ってる?』
私は今度こそ、冷蔵庫からミルクとレモンを取り出しながら爆豪くんに尋ねた。
「ハァ?頭沸いてんのか?」
『酷くない?』
知ってるかどうか聞いただけなのに!
まぁいいやと思いながら、私はレモンを切るためにまな板と包丁を取り出す。
そして爆豪くんに背を向けて、包丁を握った。
「…」
『…』
うぅ、めちゃくちゃ視線を感じる…。
包丁の使い方を見られているんだろうな。
私は爆豪くんに背を向けているため、彼がどんな顔をしているのかは分からないけれど…
『(なんか怒られる…!?爆破される…!?)』
「おい」
『は、はひっ!?』
突然肩に手を乗せられ、そのままグイッと引っ張られる。
されるがまま勢い良く振り返った先には、ポッキーを持つ爆豪くん。
「知らねー訳無ェだろ、ポッキーゲーム」
『え』
爆豪くんがポッキーを咥える。
…顔が、近い。
私の顔に影が差したその時。
「俺も飲み物取って来る!」
切島くんのそんな声が遠くから聞こえ、私は勢い良く爆豪くんから顔を逸らした。