インパチェンスの思惑
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じりじりと揺くんに迫られ、気が付けば私は教室の隅に追いやられていた。
ひやりと冷や汗が背中を伝う。
『ちょっ…ま、待って揺くん』
「待たない」
『何で?』
「何でも」
『落ち着いて!』
「落ち着いてる」
言いながら揺くんは、私の顔の両隣の壁に両肘をつき、私を見下ろした。
肘を壁についている分、普通の壁ドンよりも随分と顔の距離が近い。
いや待て、普通の壁ドンって何だ。
「考え事なんて余裕そうだね。何、投擲のことでも考えてたワケ?」
『え!?いやいや何でそうなっ…んっ!』
言い終わる前に、唇を塞がれる。
私の唇を塞いだのは揺くんの唇だった。
そして間入れず、私の唇を割って揺くんの舌が口内に入り込んでくる。
「…」
『………、』
ぬるりとした感覚に、思わず身体がゾクッとしてしまう。
『(待って待って、ここ学校なのに…)』
私が身体を引こうとしたタイミングで揺くんは片手を私の後頭部に、もう片方の手を私の腰に遣り、そのままガッチリとホールドされてしまった。
離してくれる気は無いようだ。
『…、ふっ…』
「…ん…」
勢い任せかと思えばそうでもなく、深く丁寧なキスに身体の力が自然と抜けていくのが分かる。
『(なんだ、あんまり怒ってないんじゃん…)』
揺くんが怒っている時はもっと乱暴で荒々しい。
お仕置きと言うには優しく感じる。
『(ほんとに、少し寂しかったのかな…?)』
そう思えば目の前にいる揺くんがとても可愛く思えてきた。
『…』
「…」
長く深いキスに頭がぼんやりし始めた頃、揺くんはゆっくりと唇を離した。
私は静かに、乱れた呼吸を整える。
「その顔いいね。可愛いよモカ…」
私の髪に指を通す揺くんは、とても甘い声を出した。
『…やっぱりあんまり怒ってないんじゃん…』
ちょっと身構えて損したかも。
そう思いながら不貞腐れたように目線を逸らして言うと、揺くんは首を傾げた。
「ん?何の話?」
『なんか、お仕置きって言うからもっと怒ってるのかと思った…』
「まさか今のキスがお仕置きだと思ってる?」
『え?』
違うの?と心の中で付け足しながら再び揺くんの顔を見る。
揺くんは先程の甘い声を出していた人物とは思えないくらい、腹黒い笑みを浮かべていた。
「ご褒美の間違いでしょ。さ、お仕置き始めるよ…?」
言いながら揺くんは、自身のネクタイをしゅるりと外す。
『ちょっ…ままま待って、揺くん何する気…』
「ん~?言わせるの?分かってるくせに…」
『嘘でしょ、ここ学校だよ…!?』
「学校じゃなきゃ良いんだ…欲しがりだなぁ、モカは」
揺くんは、話しながら手際良くネクタイを私の両手首に巻き付け、私の身動きを封じる。
地味に痛い。
『ね、ねぇ待って?流石にダメだよ、揺くん落ち着いて?』
「お仕置きってこと、忘れてない?モカがあーだこーだ言える立場じゃないでしょ?」
『揺くっ…んっ!』
言い終わる前に顎をくいっと持ち上げられ、キスをされる。
あぁもうダメだ、そう思った時。
「ちょ…お前等ぁああ!!」
『!?』
驚いて振り返ると、教室の入り口に畳ちゃんと投擲くんが居た。