インパチェンスの思惑
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傑物学園高校に通う私は今日も学校を終え、帰宅するために教室を出ようとした。
…が、帰れずにいる。
それには理由があった。
「…」
『…揺くん?』
揺くんが私を後ろから抱き締めて離さないのだ。
放課後、誰も居なくなった教室には彼と私しかおらず、辺りはとても静かだ。
『どうしたの?』
「…」
彼は先程からだんまりだ。
基本こういう時は不機嫌なことが多いので、こちらから余計なことは言わないでおこう。
その方が賢明だ。
それに何か言いたいことがあるなら、彼から言ってくるだろうから。
「…」
『…』
「…あのさぁ」
あぁ、やっぱり不機嫌だ。
いつもより声が低い。
『うん?』
顔色を伺おうにも彼は俯いており、表情が全く分からない。
後ろから抱き締められた状態なので、身を反転させようとするもガッチリと固定されて離してくれなかった。
これは結構ご機嫌斜めだな…なんて思いながら、私は揺くんの言葉を待つ。
「さっき、投擲と二人で何してたの?」
『投擲くん?えっと…』
私は投擲くんと居た時の様子を思い返す。
休憩時間に少し、プロヒーローの話題で盛り上がっていたのだ。
『ちょっと話してただけだよ』
「何を」
『何って…ヒーローの話、だけど…』
「…」
また黙り込む揺くん。
そして揺くんは、ハァ~…と深い溜め息をついた。
そして腕に込められる力が強くなる。
「俺、超寂しかった。俺にも構って?」
ぐすんと涙声でそう言われ、胸がキュンと高鳴る。
可愛いなんて思ってしまうのは惚れた弱みというやつだろう。
「俺だけを見てて欲しい…」
『揺くん…』
「…なーんて言うと思った?」
また突然ワントーン声が低くなり、しまったと思う。
「俺の見てる前で何よアレ、見せつけのつもり?」
『そんなんじゃ…』
「めちゃくちゃ腹立ったんだけど。お仕置きな」
身体を少し離されたタイミングで、ちらりと揺くんの表情を伺い見る。
そこには意地の悪い笑みを浮かべた揺くんが居た。