赤いゼラニウムを抱えて
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レストランでの昼食を終え、さっそくショッピングモール内を見て回る。
『あ!コレ尾白くんが持ってるやつだ!』
「うん、色違いのシューズ持ってる!」
『わぁ、こっちの服は尾白くんに似合いそう!』
「うんうん、良いねこの服!」
適当に商品を見て盛り上がっていると、ふと尾白くんが私を見る。
「カフェさん…俺のばっかじゃなくて、自分のも見て良いんだよ…?」
尾白くんが気を遣ってくれているのが分かり、やっぱり優しいなぁなんて心の中でその優しさを噛み締める。
『うん、ありがとう!でも私、尾白くんのこと考えてるの楽しいから!』
「そ…そう…」
ふいっとそっぽを向かれて一瞬不安になるが、尾白くんの耳が真っ赤になっているのを見て、私は内心で悶えた。
『(可愛過ぎるよ尾白くん…!)』
「(そんなの反則だって…!)」
はぁ、もう何でほんとこんなに可愛いんだろう尾白くん。
「あ、向かいの店っていつもカフェさんが見てる所だよね?そっち見に行こっか!」
『!…うんっ!』
私がよく買う服のお店を覚えてくれていたことが嬉しくて、私は大きく返事をした。
服を元あった場所に丁寧に戻す尾白くんを見ると、"将来良い旦那さんになりそうだなぁ"なんて思う。
『(あぁ、尾白くんが旦那さんになってるところなんて…想像しただけでも素敵過ぎるよ~…!)』
私は脳内に思い浮かぶ尾白くんの将来像を愛でながら、彼の隣に並んだ。
***
『この服可愛い…!』
お店に入るなり、新作商品で自分の好みの服があったためそれを手に取った。
『ちょっと試着してきても良い…?』
「うん、俺ここで待ってるね。ほら、荷物貸して?持つよ」
『ふあ!あ、あり、がと…!』
紳士的な尾白くんに悶えそうになるがなんとか堪え、荷物を預ける。
試着室内に荷物くらい置けるのに…
やっぱり尾白くんは、とても優しい。
私はちゃっちゃと着替えを済ませ、鏡に映る自分を見た。
そこで自分の顔を見てハッとする。
『………顔、緩み過ぎっ…!』
尾白くんのことを考えていただけで、こんなにも気の抜けた顔をしている自分。
だったら彼が隣に居る時って私、どんな顔してるんだろう…。
私はそこで思考をシャットダウンし、再度鏡に目を遣る。
『(うーん、ちょっと可愛過ぎたかな…?)』
服は確かに可愛いんだけど、私に似合ってるかどうかはまた話が別だ…。
『…』
尾白くんに見てもらうか否か悩んだ結果、私は試着室からそろりと顔を覗かせる。
『尾白くん…お待たせ、着替えたよ…!』
私の声に気付いた尾白くんが顔を上げる。
『どうかな…?』
「!」
いつもの尾白くんなら似合ってるとか、良いねとか言ってくれるはずなんだけれど…
尾白くんはその場に固まってしまった。
『(え、ど、どうしよう尾白くん固まっちゃった…!やっぱ似合わなさ過ぎたか…!)』
サァァと自分の顔が青ざめていくのが分かる。
『ご、ごめん今の記憶から消しといて!すぐ着替えるから!』
「待って、違うんだ!」
ちらりと尾白くんの方を見ると、彼は顔を赤くしてこちらを見ていた。
「その…カフェさん、可愛い。凄く似合ってる…!」
私はその場で卒倒しそうになった。