赤いゼラニウムを抱えて
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『尾白くん!』
「ごめん、お待たせ!」
今日は尾白くんと一日お出掛け…つまりデートだ。
まだ待ち合わせの10分前なのに謝ってくれる尾白くんはとても優しい。
『(わぁぁあああ、尾白くんだ尾白くんだぁああ!私服だ可愛い!格好良いなぁ~…!)』
「(めっちゃ視線感じる…!)」
一応、私達は付き合っている。
私が彼を大好きになり、猛アピールして付き合うことになったのだ。
友達に写真を見せても"なんか普通だね"とか"うん、まぁ優しそうだね"とか、微妙な反応をされることの方が多いけれど、尾白くんは私の自慢の彼氏だ。
「…行こっか?」
『う、うん!』
私達は並んで歩き出す。
今日は尾白くんの提案でショッピングモールに来ている。
ショッピングモールでデートというのもまぁ普通だけれど、尾白くんと一緒ならどんな場所に居ても幸せだ。
『(尾白くん、歩く歩幅さり気なく合わせてくれてる…!紳士だ~優しいよ、格好良いよ~…!)』
「あのさ、もうお昼食べた?」
『(お昼…"お"付けてんの可愛い)』
「…カフェさん?」
『あ、うぅん!まだだよ!』
私はこの通り、尾白くんの一挙一動に感動していてたまに彼への返事が疎かになってしまうのだが、彼はそれを笑って流してくれる。
「あはは、じゃあそこのレストランで食べて行こうか!」
『(あああ可愛いよぉおおおお…!!)』
この笑顔が私を毎日支えてくれるんだ…!
私は緩む頬をなんとか引き締めながら尾白くんの言葉に頷き、レストランへと足を向けた。
***
『わぁ、美味しそうだね!』
レストランに入り、私達は早速メニューを眺めている。
『どれにしよっかな~…尾白くんは決まった?』
「うん、一応ね。カフェさんはどれと迷ってるの?」
尾白くんがメニューを覗き込んでくる。
『えっと…コレかコレなんだけど…ごめんね、ちょっと待ってね…』
「じゃあ両方頼もっか?」
『え?…そんなにいっぱい食べるの?』
「食べない食べない」
小首を傾げた私に、尾白くんは苦笑した。
「ちょうど俺もさっきまでそれと悩んでたんだ。カフェさんの迷ってるふたつ頼もうよ、分けてあげるから」
『お、尾白くん…!』
彼の優しさに胸がキュウゥゥンと締まる感覚がする。
『でも良いの?尾白くん、食べたいのがあったんじゃ…』
「それはまた今度来た時。覚えててね」
再度、キュウゥゥンと胸が締まる。
次回がある前提で自然と話してくれる尾白くんに対して、私は喜びに打ち震えた。