ハジマリの日
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ピンポーン
夜。
インターホンの音が鳴り響いた。
『………んんん…?』
自室で半分寝かけていた私は、もそもそとベッドから起き上がる。
最近やっと受験から解放されたところなので、なんとなく身体が重い。
せっかく自分の体温で温まったベッドからあまり離れたくはないが仕方無い。
『誰だろ…こんな夜遅くに…』
その間にもインターホンは、ピンポンピンポンと鳴り続けていた。
『はいはーい、今行きますよ~…』
重い瞼を擦りながら玄関まで向かい、ガチャッと扉の開く。
するとそこから覗く、赤く鋭い目と目が合った。
『あれ…勝己くん?』
「…おう」
もう春先だというのに、開けた扉から冷たい空気が流れ込んでくる。
私はブルッと身を震わせた。
『寒っ!と、とりあえず上がって!』
「ん…」
勝己くんも寒いのだろう、ポケットに両手を突っ込んでいる彼は素直に私の後へ続き、家に入った。
***
『ごめん、気の利いた物何も無いや。お茶で良い?』
「あぁ」
『すぐ沸かすね。先に部屋行ってて~』
そんなやり取りをしてすぐにお茶を沸かした私は、それを持って自室へと向かう。
自室では勝己くんが待っている。
『(…何かあったのかなぁ)』
頭の隅でそんなことを思いながら自室の扉を開く。
部屋の中に居る勝己くんは、私のベッドに寝転がっているようだった。
この寒いのにタンクトップ姿である。
『勝己くん、お待たせ。お茶持って来たよ~?』
「…」
『勝己くん?』
声を掛けると、勝己くんはちらりとこちらを見た後、小さく呟いた。
「…寝るとこだったんか」
先程まで私が寝ていたため、ほんのりベッドが温かくなっているのに気が付いたのだろう。
勝己くんは察しが良いのだ。
『まぁね。あ、でも寒くて寝れなかったから全然平気だよ』
「…ドヘタクソな嘘つく前に、ちゃんと目ェ開いてから言えや」
『うっ…』
そう、寒くて寝れなかったというのは嘘だ。
本当はめちゃくちゃ眠い。
瞼が重い。
けれど勝己くんがこの時間にわざわざやって来たってことは、何かあったんじゃないかと思って。
話を聞いてあげたいと思った。
『それより勝己くん、珍しいねこんな時間に』
「悪ィかよ」
『悪くない悪くない』
ムッとする勝己くんに、私は笑う。
そして淹れたてのお茶をテーブルに置き、そっとベッドに歩み寄った。
すると、ベッドから伸びてきた逞しい腕が私の手首を掴む。
『…お?』
そしてあれよあれよという間に、ベッドの中に引き摺り込まれてしまった。