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しばらく抱き締められたままで居ると、彼は突然私から身体を離した。
「あ、良いこと思い付いた!」
『やだ』
「まだ思い付いただけなんだけど!?」
良いことってなんだ、嫌な予感しかしない。
「ちょっとここで待っとけな!」
そう言って立ち上がろうとした電気くんの手を私は掴んだ。
「ん?どーした、なんか珍しいな」
『絶対アホなこと考えてるじゃん…やだ、行かなくていい』
「モカバッカ!そこは"行かないで…"って、もっと寂しそうに言わねーと!」
『誰が言うか!』
思わず私は手を離してしまい、その隙に彼はサッと立ち上がった。
「すぐ戻るわ!」
そう言い残して部屋を出て行った彼。
私は特に気にせずに扇風機を独り占めする。
『あ~…一人だと割と風が気持ち良いかも~…』
身体を起こして一人、扇風機の前で涼んでいると彼が戻って来た。
そして何とも嬉しそうな顔をしている。
「っじゃーん!見ろよコレ!氷!普通の!」
彼の手には、キューブ型の氷がいくつも詰められたグラスが握られていた。
飲み物は入っておらず、本当に氷だけだ。
『…中身忘れてるよ?』
「これでいいの!」
なんだ、飲み物を入れ忘れている訳ではなかったのか。
電気くんは私の隣に腰を下ろす。
電気くんにも風が当たるように、私は扇風機を首振りモードに設定した。
「氷食ってっと、ちょっとは暑さマシになるんじゃね?」
そう言って氷を一つ手に取り、自分の口に放り込む電気くん。
私もそれに倣って氷を一つ頬張った。
「んん~!夏って感じ!」
『これはこれで良いかも…!』
バリボリと音を立てて氷を噛む電気くんとは対象に、私は口内で氷を舐めて転がした。
冷たくて気持ちいい。
そしてコロコロと舌の上で転がしていると、あっという間に氷は溶けてなくなってしまった。
『これ好きかも!もういっこ…』
「モカ、こっち」
『んっ!』
顎を掴んで彼の方を向かされたかと思えば、突然キスをされた。
驚いている間に、彼の舌が私の唇を割って口内に入ってくる。
そして、私はひんやりとした感覚に驚いた。
彼から氷を口移しされたのだ。
『…』
「!」
顔を離そうとする彼のシャツを掴み、私は氷を彼の口内に返した。
氷くらい自分で取る、そう言おうとしたのだが、彼は気を良くしたのか私の腰と後頭部に手を回して固定され、唇を離すことは阻止されてしまった。
そして今度は彼の舌がまた私の口内に氷を乗せて入ってくる。
私達の熱で溶けた氷は、先程よりだいぶ小さくなっているようだ。
『んん~…っ』
なんだか悔しくなって口内で氷を噛み砕く。
するとやっと唇を離された。
彼は私の顔を見るなり、ニヤニヤと笑みを浮かべる。
「なんだ、モカノリノリじゃん!」
『ちっがう!』
赤くなる顔を見せないために私はまたそっぽを向いた。
「えー?じゃあもういらねーの?氷」
また一つ氷を取って、電気くんはそれを口に入れた。
『氷は、いる…』
「ん、よーふぁい(了解)」
口に氷を入れた電気くんの顔がまた近付いてきた。