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「バイバーイ!」
『また明日ね~!』
一日の授業が終わり、クラスメイトに別れの挨拶を告げて手を振る。
「あれ、カフェさんは帰らないの?」
教室で帰り支度をしながら緑谷くんが私に声を掛けて来た。
『うん、ちょっと自主練しようかなって!』
今日も爆豪くんに、購入したてのジュースを横から奪われたし、本当は帰って休みたいところなんだけどね。
「まだ体力余ってるんだね、凄いや…!」
『全然!部活やってる子達の方が凄いよ!緑谷くんはもう帰るの?』
「う、うん!帰ってヒーロー研究したくて…」
照れ臭そうに言う緑谷くんに、私は ふっと笑う。
緑谷くんは珍しく"個性"をその身体に宿していない。
そんな彼はヒーローという存在が大好きで、日々ヒーローについて研究してはその成果をノートに纏めているらしい。
このことは最初は頑なに隠し続けられたけれど、この数年で仲良くなった結果、彼は私にその旨を話してくれたのだ。
『そっか、じゃあまた明日ね!』
「うん!カフェさんも頑張って!」
軽く手を振り合いながら緑谷くんと別れる。
『っし、いくか!』
体育館の方に向けて、私は歩き出した。
私は今年の春から体術を習いに、とあるプロヒーローの元へと通っている。
体術と言っても忍法みたいなのじゃなくって、柔術とか合気道みたいなもの。
まだ初めて三ヶ月くらいしか経っていないけれど、これが以外と楽しいのだ。
私の"個性"は"回復"。
この"個性"だけでは敵と対峙した時、戦うことが出来ない。
最近、敵(ヴィラン)による事件が多くなっているからと両親が通わせてくれたのだ。
放課後たまに、体育館の隣の空きスペースで友達と組み手なんかをしている。
今日も友達と"放課後は組み手しようね"と約束をした。
だから体育館の方へ向かっている、のだが…
『うわ…出たぁ、爆豪勝己…!』
私の前に立ちはだかっているのは、爆豪くんとその友達が数人。
「ブフッ!勝己嫌われてんじゃね?」
「…」
『っ…』
鋭い目付きで爆豪くんに睨まれた私は思わず竦んでしまった。
「勝己?」
「…あァ!?うるせぇぞテメェぶっ殺す!!」
『何でもいいけどそこ退いてよ、私用事あんの!』
「黙れテメェが退けや!」
『いやこっちは普通に通れるじゃん!』
やいのやいのと言い合いをしていると、ふと気付いたことがある。
爆豪くんが私に意地悪をしてくる時は、決まって私が一人の時だけだ。
筆箱を隠したのも、教科書への落書きも、上靴を投げられたのも、髪を引っ張られたのも。
彼の友達は居ても、私は一人。
私には仲間が居ない状態だ。
これならいつリンチされても誰にも気付いてもらえない。
『…』
ちょっと面倒だけど大回りして行こう。
「あっオイコラ逃げんな、間抜け女テメェ!」
後ろから爆豪くんの声が聞こえるが、私はそれを無視してその場を後にした。
(爆豪くんとは、出来るだけ関わりたくないなぁ)